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[MOM3624]丸岡FW佐藤流星(3年)_待ち続けた飛躍の瞬間。嫌な流れ断ち切り、2G1Aの活躍

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丸岡高のFW佐藤流星は2得点1アシストの活躍

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.31 選手権福井県予選準決勝 丸岡高 5-0 福井工大福井高 テクノポート福井]

 福井工大福井高との準決勝で2ゴール、1アシストを記録したのが丸岡高のFW佐藤流星(3年=FELICE FC出身)。快足を活かしたドリブルとゴールまでの得点感覚の鋭さが売りの選手だ。特に自信があるのは相手を置き去りにできるスピード。普段は50mを6秒3で走るが、「スパイク履いてプレーすると、足が軽くなって走れる」(佐藤)ため、ピッチで見るとタイム以上の速さを感じるかもしれない。

 佐藤のプレーは、福井工大福井にとって、とても厄介だったのは間違いない。スピードに乗った縦への突破からクロスを上げるだけでなく、味方の使い方も巧みだった。「今日は前から来る相手だったので、しっかり味方も使って、自分がスペースに抜けて、フリーで貰えるような動き出しを狙っていた」。左サイドでタイミングよく後方から攻めあがったDF徳山港音(2年)と2対1の状況を上手く作り出したため、相手は対応が難しく、立ち上がりからチャンスを作った。

 この日は絶妙なタイミングでゴールを奪えたのも、彼を評価すべき点だ。前半12分にはMF明間歩(3年)が上げた右CKのこぼれをダイレクトで打ち返し、先制点をマーク。チームにとって弾みのつく一撃となった。33分に失点寸前のピンチを迎えるなど流れが相手に傾きかけていた37分には、FW小関晴人(2年)が打ったシュートのこぼれ球を押し込み、2点リードで前半を終えた。

 後半6分に訪れたピンチの直後には、MF名倉洸悠(2年)のパスを受け、左サイドをドリブルで突破。左CKから付近からゴール前にパスを入れると、最後はファーサイドから走り込んだMF山次鴻史朗(3年)が決めた。スコアに反映される働き以上に、嫌な流れを断ち切る意味でも、大きかったのは間違いない。

 この日のヒーローとなった佐藤は千葉県の出身で、高校に進学するタイミングで関東のJユースのセレクションに参加していた。進路を一本に絞っていたため、高体連から受けた推薦を断っていたが、最終で落選。行き場がない佐藤に声を掛けたのが、中学時代の先輩が通っていた丸岡高校だった。

 1年目から福井の地で活躍するつもりでいたが、昨年までは怪我に苦しんだ。1年生の頃は腰を負傷。2年生の頃は足首を痛めただけでなく、選手権前には後十字靭帯を切ってしまった。いずれも、選手として浮上のきっかけを掴みかけていたタイミングでの負傷。それでも、前を向いて筋トレや入念な身体のケアを行い、飛躍の瞬間を待ち続けた。迎えた今年は主力の座を掴み、インターハイでも2試合に出場。卒業後は、関東に強豪大学への進学も決まっている。

 選んだ進路や、怪我で出られなかった時期も決して無駄ではない。遠回りしながらも、この3年間で逞しく成長している。「昨年は怪我で出られなかった悔しさとかはある。晴らすためにも、最後の選手権は全国に出たい」と意気込む通り、次の決勝戦では貯め込んだ悔しさを晴らし、成長した姿を多くの人に見せつけるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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