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積み上げと経験活かし、大舞台でも自分たちのスタイル表現。インハイ16強・三重が4-0で目標へ一歩前進

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前半39分、FW吉良元希(10番)のゴールを喜ぶ三重高の選手たち

[11.3 選手権三重県予選準決勝 津工高 0-4 三重高 四日市市中央陸上競技場]

 第100回全国高校サッカー選手権三重県予選の準決勝が3日に行われた。第2試合の津工高三重高は、MF逵村健斗(3年)の先制点を皮切りに、4得点を奪った三重が4-0で勝利した。

 3年ぶりの出場となったインターハイで史上最高成績となる16強進出を果たした三重の進化は止まらない。チームとしての逞しさは夏以上。その姿を披露し、4年ぶり2回目となる選手権出場に王手をかけた。

 今季、津工との対戦成績は2戦2敗。苦手意識を感じている選手もいる中、試合前、徳地俊彦監督は選手を集め、「お前らが目指しているのは、こんな所じゃない」、「魂で戦え」との言葉を掛けたという。「僕らは全国でベスト4を目指しているので、今日の試合はあくまでも過程。監督の言葉で、自分たちの肩の力が抜けた」と振り返るのは、主将のFW吉良元希(3年)。自然体となれた三重の選手たちは、試合序盤から練習で積み上げてきた成果を発揮する。

 前半4分には、左サイドでの仕掛けから左CKを獲得。MF竹松純志(3年)のキックから放ったDF黒田響平(3年)のヘディングシュートは、左ポストに当たったが、すかさず逵村が押し込み、先制に成功。21分には遠目からのFKを竹松が直接狙い、GKのファンブルを誘発。セカンドボールを吉良が詰めようとしたが、DFにクリアされた。

 思い通りに2点目は奪えなかったが、守備はチーム全体で高い意識を保ち、シュートを打たせない。相手のキーマンである大型の技巧派MF岡本晟也(3年)と豊田光(3年)に対しては、「(竹松)純心は攻撃、僕は守備が好きなので、ちょっと縦関係になって相手シャドーの10番(岡本)と8番(豊田)を抑えていた」(MF野呂航正、3年)。すると、前半39分には左サイドMF北岡優輝(3年)のパスから吉良がシュート。GKが弾いたこぼれ球を自らが押し込み、2-0で前半を終えた。

 後半は高い位置でボールを動かし、相手ゴールに迫る場面が増えた。4分、逵村のパスから、ゴール前を抜けた北岡が3点目をマーク。12分には、ハーフウェーラインからDF角谷太一(3年)が蹴り込んだリスタートが、PA中央ヘ。見事なトラップを見せたMF浅井勇飛(2年)が豪快に蹴り込んだ。試合はそのまま4-0でタイムアップ。大量得点を生んだ攻撃の活躍と共に、相手のシュートを0本に抑えた守備も光るゲームだった。

 インターハイでは那覇高(沖縄)と実践学園高(東京)から白星を奪ったが、3回戦の東山高戦(京都)を含めた3試合で奪った得点は、2つ。全国のスピード感に戸惑い、「自分たちは蹴るイケイケのサッカーしか出来なくて、ポゼッションが出せなかった」(吉良)のが原因となった。

 そこからは新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、チーム活動が出来ない期間が続いたが、これまで積み上げてきた成果や、インターハイでの経験が今になって活きてきている。「準決勝、決勝になった時にやりたいサッカーが出来なかった。なかなか噛み合わなかったり、もう一つ二つパスが繋がらず、シュートまで行けなかったから負けていた」(徳地監督)これまではとは違い、大舞台でも三重のスタイルは通せた。とはいえ、冒頭の言葉の通り、まだ今は通過点。目標の全国ベスト4を達成するために、まずは決勝を乗り越える。

(取材・文 森田将義)
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