beacon

富山一が7年連続の県制覇!“国立最蹴章”の伝説から第100回大会へ「もう一度、国立の夕陽を観に行こう」

このエントリーをはてなブックマークに追加

富山一高が7連覇

[11.6 選手権富山県予選決勝 富山一高 1-0 富山工高 高岡スポーツコアサッカー・ラグビー場]

 6日、第100回全国高校サッカー選手権富山県大会決勝が高岡スポーツコアサッカー・ラグビー場にて開催され、富山一高富山工高を1-0で破り、7年連続32回目の全国切符を手に入れた。

 富山一・大塚一朗監督が「厳しい内容だった」と率直に振り返り、「富山工が本当に素晴らしかった。あのファイティングスピリットはわれわれも見習わないといけない」と語ったとおり、前半は富山工のペース。富山工は技術に加えてタフさも備える10番のMF前田暖人(3年)が中盤で起点となり、前線ではFW西脇潤(2年)が体を張りつつ、ロングスローでも脅威となる。一人ひとりが責任感を感じさせるプレーを見せて、セカンドボールを巡る攻防でも富山一を上回り、全体としても五分の展開に持ち込んだ。前半23分、GKまでかわされる最大のピンチも、富山工は懸命に戻ったMF井澤柊太(3年)とDF井上愛翔(3年)が連続シュートブロックで阻んだ。

 この流れを受けて、富山一はハーフタイムに戦術面に修正を施す。「トップに当てたセカンドボールを拾えない」「中盤の中央で数的不利になる」(善本洋輔コーチ)という問題を受けて、シャドーの位置取りを中央寄りに変更。必然的に全体が中に寄る形になるが、その上でスペースのできるサイドから切り崩す形を狙った。

 後半、その狙いに応えて躍動を見せたのが左サイドのDF片山大治郎(3年)だった。「前半は消極的になってしまったけど、後半の1対1は全部仕掛けるつもりだった」というドリブラーが、再三にわたって富山工の右サイドをぶち破っていく。17分には、セカンドボールを回収した流れのままに左サイドを力強く突破しての折り返し。GKも横切って後は押し込むだけとなったボールだったが、MF吉田圭佑(3年)のシュートは枠外へ逸れる後半最初の決定機も生まれた。

 その後も攻勢を強める富山一にチャンスが生まれる流れとなったが、富山工GK山崎衛(3年)の好守もあってゴールは生まれない。スコアレスのまま終わることもあるかと思われる展開だったが、後半34分、ついにゲームが動く。明暗を分けたのはスローインになった瞬間に生まれた小さな隙だった。ロングスローではなく素早くリスタートした富山一は、スペースのできていた左サイドを片山が破り、左足で力強くシュート。GKが防いでこぼれたボールを、吉田がキッチリ流し込む。喜び弾ける富山一の先制点は、そのまま決勝点になった。

 1-0。終盤の富山工の反撃もしのいだ富山一が見事に勝ち切り、全国行きの切符を勝ち取った。ただし、選手たちの意識するゴールはここではない。2013年度、「国立最蹴章」と銘打たれた第92回大会で全国を制した大塚監督は、当時の話を選手たちに言い聞かせた上で、「もう一度、国立の夕陽を観に行こう」と伝えた。

 新国立に選手権が戻ってくる100回大会、富山第一は再び全国の頂点を目指しに行く。

(取材・文 川端暁彦)

●【特設】高校選手権2021
▶高校サッカー選手権 地区大会決勝ライブ&アーカイブ配信はこちら

TOP