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夏の悔しさを糧に…徳島市立の188cm長身2年生GK藤澤芭琉、決勝戦は「絶対に無失点で抑えたい」

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徳島市立高GK藤澤芭琉(2年=阿南市立那賀川中)

[11.6 高校選手権徳島県予選準決勝 徳島市立高 5-1 徳島科学技術高 徳島市球技場]

 昨年の全国選手権でPK戦のキーパーを務めた徳島市立高のGK藤澤芭琉(2年=阿南市立那賀川中)は今季、正守護神としてチームを支えている。夏のインターハイでは3回戦の星稜高戦に0-3で完敗し、リベンジを期して挑む2度目の冬。3か月間で遂げてきた成長を引っさげ、再び全国の舞台に返り咲くつもりだ。

 11月6日に行われた徳島県予選準決勝では徳島科学技術高戦に5-1で勝利し、9年連続の決勝進出を決めた徳島市立。しかし、試合後の藤澤の言葉は厳しかった。

「こんなレベルじゃまだまだ。このレベルで1失点してしまうと、全国に出たらもっと強いというのを夏に経験したので、チームとしての完成度を上げていかないとこのままじゃまずい」。基準はあくまでも全国で通用するかどうか。一昨年度を超える全国8強入りに向け、県予選から目線を高く保っている。

 悔いが残ったのは5-0で迎えた後半24分の失点シーン。少ないタッチ数で左サイドを崩されてのクロス攻撃に対し、藤澤も果敢に飛び出したものの、わずかに及ばずMF野崎春咲(3年)にシュートを流し込まれた。

「2回くらいクロスを上げられたけど、1回目でまずディフェンスのクリアが弱くて、前に落ちてしまった。あそこのクリアをもっと大きくさせることができなかったのでコーチングが悪かった。後半始まってから守備が緩いのは気づいていたので、最初からもっと声を出していたらミスからの失点はなかったと思う」。

 コーチング面の反省を語った藤澤は「相手がサッカーを変えてきて、シンプルに後ろから裏へのボールが多くなって、裏を弾くことを徹底していたけどセカンドも拾えず、相手の思い通りになった。いつもはライン高いけど引いてしまったり、オフサイドも自分たちで勝手に判断してしまったりして相手の雰囲気に飲まれた。全体的に守備が緩くなってやられた」と無失点に至らなかった守備の課題を振り返った。

 それでも試合を通じてレベルの高さは見せつけた。前半から精度の高いパントキックで味方のサイド攻撃をお膳立てする場面が見られ、後半10分にはオフサイド覚悟で相手が繰り出したクロス攻勢にも完璧な飛び出しでセーブ。「去年はちょっとビビってそんなに声を出せていないこともあったけど、今年は思い切って声を出して、思ったことを全部言えている」という声の面でもチームを支えた。

 さらに、この日は相手が引いてきたこともあってそう多くの機会はなかったが、ビルドアップのスキル向上にも取り組んできたという。「インターハイ1回戦(立正大淞南戦、○2-1)で明らかな自分のキックミスから失点したので、左足を練習するようになった。一つのミスで流れが悪くなってやられたので自分からの失点を減らしていきたいと思って練習している」。勝った試合での課題も糧とし、トレーニングを続けている。

 また自らの長所を冷静に見つめつつ、弱点の克服にも力を入れる。

「シュートストップとハイボールは自分の武器かなと思っているけど、ポジショニングや周りを見ることがまだまだ。そういうところを意識しないと上に行けないので、改善していかないといけない。また今日の試合と先週の松高戦も両方クロスからやられて逆サイドを自分が見ていなくてマークもフリーにしてやられていたので、声を出すだけじゃなく、意味のある声をもっと増やしていければと思う」。

 すべては全国の舞台に再び立ち、目標を達成するため——。徳島商高との決戦は13日。藤澤は「守備陣で失点してしまっているので決勝は絶対に無失点で抑えたい。あと攻撃でも自分からのパスで得点やアシストにつなげて、守備でも攻撃でも両方関われるようなプレーをしたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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