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イメージは1年前の笠井圭祐。関東一FW本間凜が驚異の4戦連発弾で東京制覇に貢献!

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関東一高FW本間凜は4戦連発弾を沈めてガッツポーズ!

[11.13 選手権東京都予選Bブロック決勝 関東一高 2-0 大成高 駒沢陸上競技場]

 もう覚悟は、ある。はじまりは代役だったかもしれないが、このチームをゴールで牽引していくストライカーとしての自覚は、しっかり結果という形で表している。「ずっと緊張感を持って練習に取り組んでいましたし、2人を超えることしか考えていなかったので、自分がこういう形で活躍できていることは嬉しく思います」。

 圧巻の4試合連続ゴールで手繰り寄せた全国切符。関東一高に現れたライジングスター。FW本間凜(2年=JSC CHIBAジュニアユース出身)、覚醒中。

 きっかけは先輩の負傷だった。「今年は当初フォワード陣でチームを牽引してくれるであろうと思っていた坂井航太と熊田龍輝がケガをしてしまって、春夏と2人を欠いた状態でゲームを進めていかないといけなかったので、なかなか点数を獲るところで獲れないで負けてしまうゲームが多かったんです」と明かしたのはチームを率いる小野貴裕監督。その中で2年生ストライカーの存在が浮上する。

「自分もそこはチャンスだと思っていましたけど、2人の方がものすごく上手ですし、自分にないものを持っていたので、いつ戻ってくるかわからないなと」(本間)。常に抱いていた危機感は、プラスに作用する。少しずつ、少しずつ、周囲の信頼を勝ち獲り、スタメン起用の機会も増えていく。

 迎えた今大会。2回戦の狛江高戦で、MF堀井榛人(3年)のCKから、ヘディングでゴールを陥れると、“点取り屋”としての感覚が解き放たれる。準々決勝の駿台学園高戦でも先制弾。準決勝の大森学園戦でも唯一の得点をマークし、1-0の勝利に貢献。存在感を急速に強めていく。

 2年連続となる全国出場の懸かった決勝。大成高戦との大一番にも、当然のように本間の名前はスタメンリストに書き込まれる。1-0とリードして迎えた後半32分。駒沢のピッチでも、その嗅覚が発動される。

 MF肥田野蓮治(3年)が浮き球のパスを左サイドへ落とし、走ったMF若松歩(3年)は飛び出したGKをしっかりと確認しながら、シュートではなくクロスを選択。宙を舞った18番のヘディングが、ゴールネットをきっちりと揺らす。「大成さんとは絶対に苦しい試合になるとわかっていたので、全員集中を切らさずやっていこうと話していて、自分もああいう難しい時間で点が獲れたので良かったと思います」。

 本間の4戦連発となる追加点。2-0。大きな1点を奪った関東一は堂々の東京連覇を達成。その一翼を「まだまだ2年生なので、成長過程の選手ではありますけれども、今年1年間掛けてだいぶ成長してきてくれました」と指揮官も評価する2年生ストライカーが担ったことに疑いの余地はない。

 昨年度の選手権では10番を背負った笠井圭祐(現・桐蔭横浜大)が、予選では5戦連発の8ゴールを記録。全国でもハットトリックを含めた4得点を奪い、一躍脚光を浴びた。「去年は西が丘とこの駒沢で笠井くんがものすごく活躍していて、自分もその時は『ああなれたらいいな』と思っていましたけど、引退した後もちょくちょく練習に来てくださったので、話す機会も増えて、『こういうシュートとか打てば入るんじゃないの』みたいなアドバイスも受けていたので、笠井くんみたいになりたいなとは日々思っています」。笠井のような活躍を見せれば、自ずとチームに勝利をもたらすことになることも、十分に本間は理解している。

 全国までは1か月強。当然2人の“先輩”もスタメン復帰を虎視眈々と狙っているが、必死に掴んだこの座を簡単に明け渡すつもりはない。「自分は体力が持ち味で、裏抜けとかディフェンスとかずっと走れる選手でいたいので、そこに関しては負けない自信がありますし、このインターハイからT1リーグと選手権都大会を重ねて、あの2人には絶対負けないように頑張ってきました」。

 活性化している関東一フォワード陣のポジション争い。本間は正々堂々とその中に身を置き、まずは全国のピッチで“5戦連発”を達成すべく、さらに得点感覚を研ぎ澄ませていくはずだ。

(取材・文 土屋雅史)

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