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[MOM3729]高川学園MF林晴己(3年)_「力の無さを痛感した」昌平戦から1年、圧巻の2G1A

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大会初得点を含む2Gを挙げた高川学園高MF林晴己(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.29 選手権1回戦 星稜高 2-4 高川学園高 ニッパツ]

「昌平戦を忘れるな」。1年前の選手権、後半40分から昌平高(埼玉)が2点を奪って同点に追いつき、PK勝ちを果たしたミラクルを、日本中で唯一“悲劇”として受け止めた高川学園高(山口)。江本孝監督は「チームの立ち上げ当初から昌平戦を忘れるな」を合言葉に研鑽をつんできた。

 1年前の昌平戦、2年生で10番を背負って先発したMF林晴己(3年)は、2点をリードした残り5分のところでピッチを退いた。しかし、80分に1点を返され、ラストワンプレーでも失点。PK方式の末に敗れた一戦を、林晴己は「自分が代わった後に2失点。力の無さを痛感した」と大きな責任を感じていた。

 そして、3年生として迎えた今年度、背番号10が1回戦で先制点を奪う。前半8分、FKの場面で、林晴己、FW梅田彪翔(2年)ら5選手が、手を組んで小さな輪をつくってまわりはじめる。輪を解いて一気にゴール前につめたところで、林晴己の頭にMF北健志郎(3年)のクロスはピタリと合った。「セットプレーの練習をしている中で、あの形で点をとっている。自分たちにとって強み」と武器であるセットプレーでゴールを奪った。

 星稜に追いつかれて、高川学園が突き放し、また星稜に追いつかれて、という展開で、試合の終盤にスコアは2-2に。1年前の昌平戦も想起させられる中、「昌平戦から成長した姿を見せようと強い気持ち」を持っていたという林晴己が、劇的なゴールを奪う。残り2分、梅田からのパスを受けたペナルティエリア左で受けた林晴己は、相対するDF{井上陽向大}}(3年)がシュートブロックをしようと足を伸ばしたところ、足の間を狙いすました。「(股下が)空いてくると思っていた。ひとつ分ボールをズラせば、股を抜ける」。コントロールされたシュートは、GK山内友登(3年)にニアを抜いて、ゴールに吸い込まれた。

 決勝点の1分後には、ダメ押しとなるFW中山桂吾(3年)のチーム4点目もアシストした林晴己。ハーフタイムには、前半の決定機を逃したことで、中山とともに江本監督から檄を飛ばされていたという。「点をとらなければいけない選手がとらなければ負けるよ。悔しかったら点をとってこい」。終わってみれば、2得点1アシストと、見事に結果で示した。

 選手権での4ゴールは、高川学園にとって95年度1回戦・青森山田戦(◯4-0)以来26年ぶり。「攻撃力という面で、全国トップレベルだと思っている」と胸を張る林晴己。インターハイ4強の星稜高(石川)を撃破し、その真価を全国に見せつける。

(取材・文 奥山典幸)

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