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夏のリベンジ果たした羽黒!! PK戦までもつれ込んだ山形中央との死闘を制し、2年連続で全国へ

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2年連続で山形を制した羽黒高

[10.29 選手権山形県予選決勝 羽黒高 2-2(PK4-3) 山形中央高 小真木原陸上競技場]

 第101回全国高校サッカー選手権の山形県予選は29日、山形県鶴岡市の小真木原陸上競技場にて決勝が行われ、羽黒高山形中央高が対戦。山形中央が優勝したインターハイ予選決勝と同じカードとなったが、2-2で延長戦でも決着がつかず。PK戦を4-3で制した羽黒がリベンジを果たし、2年連続9回目の優勝を飾った。

 前半立ち上がりは山形中央が勢いよく攻め込む。両サイドハーフのMF高橋健太(3年)とFW高橋一颯(3年)が果敢に攻め上がり、FW佐貝誠(3年)やFW篠田ヒカル(2年)に鋭いクロスを入れて決定機を量産する。そして迎えた前半8分、クロスのこぼれ球を拾ったDF大風春人(3年)が思い切って放ったロングシュートがゴールに突き刺さり、山形中央が先制した。

 その後も多くの決定機をつくった山形中央だったが、ここで踏ん張りを見せたのが羽黒GK梅野晃成(3年)。ファインセーブを連発して、ピンチをしのいでいく。そうして前半の終わり頃になると徐々に羽黒も攻撃に転じ始めた。前半終了間際の40+2分、右サイドからのクロスが流れると、ボールを左サイドで受けたMF荒井晴太(3年)が中央へ。ゴール前に上がっていたボランチのMF小西謙吾(2年)がゴールに押し込み、1-1の同点に追いついて前半終了した。

 後半も序盤は羽黒ペース。後半8分、左サイドバックのDF高橋大和(3年)が斜めにロングフィードを入れ、これを荒井が右サイドで受ける。「ハーフタイムにコーチから、2列目から飛び出して裏抜けすればボールをもらえると言わた。その通りにやったら裏抜けできて、ゴールのお膳立てができました」と自慢のドリブルで中へ切れ込んだ荒井からパスを受けたFW成田藍士(3年)がきっちりとシュートを決めて逆転に成功した。

 しかし、山形中央も意地を見せる。「本来は先発で出る選手」と羽角哲弘監督が語るFW金子優斗(2年)を投入すると、再び攻撃が活性化。右サイドハーフにポジションを変えた佐貝のクロスから金子がヘディングシュートを決めて同点に追いついた。その後は両チーム、雨で肌寒い気候の中、果敢にゴールを狙ったが、あと一歩決め手を欠き、前後半を2-2で終了。延長戦でも決着がつかず、PK戦に突入した。

 両チームとも1、2人目が成功で、3人目が失敗。4人目山形中央のキッカーは高橋健。「わざと蹴る方向(右)と逆方向(左)を見ていました」。キッカーの仕草を見逃さず、迷わず右に跳んだGK梅野がパンチングでセーブした。その後、羽黒は4人目が成功。5人目は両チーム成功となり、4-3で羽黒がPK戦に勝利し、2年連続の優勝を決めた。

 羽黒はインターハイ予選決勝でも山形中央と対戦したが、1-2で敗戦。本街直樹監督は「この大会にかける選手の思いが強かったです」と振り返る。「どちらかと言うと山形中央の方がチャンスがあって、リズムをつくれませんでした」と序盤や後半の途中から相手に攻め込まれる展開を悔やんだが、「粘り強く最後まで戦っていました」と守備で粘れたのが大きかったという。「守備がだいぶ落ち着いてきて、DF瀬戸遥太(3年)とコンビを組むセンターバックが入れ替わっていましたが、DF半田陸(3年)がケガから戻ってきて、守備が安定してきたのがトーナメントの大会では大きかったですね」と2失点はしたものの、守備陣に踏ん張りがきくようになったことを勝因に挙げた。

 また、山形県リーグ1部では得点力不足にも苦しんでいたが、「リーグ戦では点が取れなかった中、攻撃陣が奮起して毎試合複数得点を取ってくれました」とGK梅野が語る通り、今大会を通じて攻撃陣が好調だったのも優勝の要因だ。攻撃の核で、この試合2アシストの荒井は「得点も取れなかったのが、選手権で入るようになりました。まだ改善すべきところはあるので、改善して全国に行きたいです。絶対に相手にとって怖い選手になりたいですね」と全国大会に向けても意気込む。06年の出場以来、全国大会での勝利が無い羽黒の歴史を変えられるか注目だ。

 一方、決定機を多くつくったもののPK負けとなった山形中央の羽角監督は「この代はシンプルなサッカーをせざるを得ない世代。堅守速攻を体現してくれてよく頑張りました。昨秋の新人戦では羽黒に1-4と敗れましたが、そこからよく成長しました」と選手の成長とここまでの頑張りを讃えた。「追いついた後、流れは来ていましたが、決定的なチャンスを2~3回決めきれなかったのが敗因です」と決定機を決めきれなかったことを悔やんだ。それでも「GKやボランチ2人、FWの金子も2年生です。縦のラインがみんな2年生なので、来季につながります」と、悔しい思いをした2年生選手の来季の飛躍に期待をかけていた。
   
(取材・文 小林健志)
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