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不安的中で先制点献上も…県勢最多の“プライド”示した丸岡、北陸に逆転勝利で決勝へ

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丸岡が33度目の出場に王手をかけた

[10.30 選手権福井県準決勝 丸岡 2-1 北陸 テクノポート福井]

 第101回全国高校サッカー選手権福井県大会 準決勝が30日に行われた。丸岡高北陸高の一戦は、MF岡俊樹(3年)とMF渡辺祥気(2年)のゴールによって、丸岡が2-1で勝利した。

「収穫は勝てたことだけです」と厳しい表情を浮かべるのは、丸岡の主将DF山田健太(3年)。5連覇に王手をかけたものの試合を通じてピンチも多く課題が残る試合となった。

 北陸との相性は決して悪くない。昨年度の選手権予選決勝は5-1。今年の県1部リーグの後期で対戦した際は9-0と大勝しているため、気の緩みが生まれてもおかしくない。反対に北陸の選手は、打倒・丸岡に燃えるのは確かなシチュエーションだったため、試合前から小阪康弘監督は苦しい試合になると予想し、選手たちに「油断するな」と声をかけていた。

 不安は前半3分に的中する。センターサークル付近から、丸岡のエリアに運ばれた所でFKを与えると、MF梅崎陽翔(3年)がゴール前にロングボールを展開。「(ゴール前で)合わせてくるかなと思って準備していた」(山田)という丸岡の守備陣の予想を尻目に、直接ゴールネットを揺らし、北陸が先制した。

 幸いにも早い時間帯での失点だったため、取り返す時間はある。失点直後から、豊富な運動量を見せた岡がボールを引き出し、右のMF名倉洸悠(3年)と左のFW中川優斗(3年)を使ったサイドアタックで北陸を押し込んだ。24 分にはワンツーで攻め上がったDF徳山港音(3年)のこぼれ球を岡がスライディングで決めて同点に追いついた。以降も丸岡の時間は続き、29分には徳山が右クロス。ファーの中川がダイレクトで放ったシュートは良いコースを付いたが、カバーに入ったDF御手洗昊(1年)に阻まれた。

 1‐1で迎えた後半の立ち上がりは、北陸のペース。小阪監督は「最後の部分は北陸の方が粘り強くやっていた。北陸の僕らに向かってくる姿勢は凄かった」と振り返る。北陸は奪ったらボールを素早く前線に入れ、185cmのFW金谷泰希(3年)と178cmのFW吉田英生(1年)が力強く丸岡のゴールに迫った。3分にはクリアボールが丸岡DFの背後へ。いち早く反応した金谷がシュートまで持ち込んだが、並走した山田がブロック。11分にはMF横村晴(2年)からのパスを受けた金谷がスルーパスを入れ、抜け出した吉田がGKの脇を射抜いたが、懸命に戻ったDF渡邊颯生(3年)が既の所でクリアした。

 耐えながらも反撃のチャンスを伺った丸岡は23分に、名倉が左サイドを突破し、ゴール前にクロス。MF川下恭太郎(2年)が競ったこぼれを「前半はチームに迷惑をかけた部分があったので、これを決めないとヤバいなと思って打ち抜きました」と振り返る渡辺が豪快に決めて、逆転に成功した。試合はそのまま試合終了を迎え、2-1で丸岡の勝利となった。

「うちは尻に火が付いた方が良いと分かりました。勝ったから言えますが、良い練習になりました」。小阪監督の言葉から分かる通り、勝負の難しさを改めて知った上で勝てたのは収穫と言える。7月末のインターハイでベスト16まで進んだことで、例年よりも丸岡包囲網は厳しくなっており、決勝も勝つのは簡単ではない。だが、「やっぱり丸岡なので勝たないといけない」と山田が口にするなど、選手は県勢最多となる32回の選手権出場チームでプレーしているプライドを持っている。

「今まで自分たちが勝って来たチームの想いも背負ってやらないといけない。丸岡の先輩方が今まで気付いてきた伝統や歴史を受け継ぎたい。次も自分たちがしっかり勝って、ずっと勝てていない全国ベスト16の壁に挑みたい。壁を越えて、自分たちの代で歴史を変えてやろうと思っています」(山田)。啓新と対戦する決勝では改めて丸岡の強さを証明し、目標のスタートラインに立つつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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