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千葉に新王者誕生!日体大柏がJ1柏との相互支援契約8年目で選手権初出場!

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日体大柏高が激戦区・千葉で初優勝

[11.12 選手権千葉県予選決勝 市立船橋高 0-2 日体大柏高 フクアリ]

“柏レイソルアカデミー”の日体大柏が初の選手権へ――。第101回全国高校サッカー選手権千葉県予選決勝が12日、フクダ電子アリーナで開催され、日体大柏高が初優勝を飾った。全国優勝5回の名門・市立船橋高と対戦した日体大柏は、柏レイソル内定FWオウイエ・ウイリアム(3年)の先制ゴールなど2-0で快勝。選手権初出場を決めた。

 日体大柏サッカー部は2015年に地元・千葉県柏市のJクラブ、柏レイソルと相互支援契約を結び、“柏レイソルアカデミー”の一つとして活動中。ともに元柏のJリーガーで、また柏アカデミーコーチでもある根引謙介監督や菅沼実コーチの指導を受ける強豪が、激戦区・千葉の選手権予選を初めて制した。

 決勝は日体大柏のオウイエにボールが入るたびに観衆が沸くような立ち上がり。主力数人を欠く市立船橋は、5バックを採用して日体大柏の強力攻撃陣に対応しようとする。そして、奪ったボールを前線に入れて速攻。前半7分には、FW芦沢颯太(3年)が右サイドで個人技を発揮し、大きく前進して逆サイドへ展開する。そして、U-17日本代表FW郡司璃来(2年)が後方へ落とし、左WB内川遼(2年)が左足を振り抜いた。

 だが、試合は相手に的を絞らせずに速く、正確にボールを動かし、守備の奪い返しも鋭い日体大柏のペースに。インターハイ予選決勝で市立船橋高に2-3で敗れている日体大柏は、夏から秋に掛けて取り組んできた成果を見事に発揮していた。

 根引監督は「夏の戦いを振り返った時にロングボールは市船さんとの試合に限らず(相手に合わせる形で)長いボールを蹴ってしまうところがあった。やりたいことと違うよね、と。中盤を使ってボールを展開していかないといけない」。DFラインから左右へボールを動かし、MF植木笙悟(3年)とMF相原大翔(3年)のダブルボランチが随所でポジショニング、ボールタッチの質を発揮する。また、FW吉田眞翔(3年)のタイミングの良い抜け出しや、懐深いオウイエのボールキープ、多彩なキックも交えてチャンス。市立船橋はなかなか奪い切れずに押し込まれる展開となった。

 それでも、市立船橋は前線で怖い動きを続ける郡司がシュートへ持ち込み、DF陣も我慢強く守り続けていた。0-0で前半終了。だが、日体大柏は後半開始直後、奪い返しから植木が右のオープンスペースへスルーパスを入れる。ロングスプリントした右SB寺村啓志(3年)がクロスを上げ切ると、市立船橋DFがクリアしきれずにボールはゴール前へ。これに詰めていたオウイエが左足で押し込み、先制した。

 市立船橋は、直後にチームリーダーの2年生MF太田隼剛を投入し、巻き返そうとする。だが、日体大柏は10分、敵陣で前を向いたオウイエが一気に前進してタイミングよくスルーパス。これを受けた10番MF古谷柊介(3年)が切り返しでDFを外し、右足シュートをゴールへ蹴り込んだ。

 日体大柏は、14分にも左中間へ抜け出したオウイエの左足シュートが市立船橋GK佐々木海翔(3年)の手を弾いてクロスバーをヒット。市立船橋は諦めずに敵陣でのプレー時間を増やしたが、CB古金谷悠太(3年)とCB柴田光琉(3年)を軸とした日体大柏DF陣は、郡司をケアするなど要所を封じ続ける。市立船橋は郡司の仕掛けから1年生FW岡部タリクカナイ颯斗がシュートへ持ち込んだほか、左サイドを内川が突破したり、CKからのチャンスも。だが、最後までゴールを破ることができないまま試合終了を迎えた。

 日体大柏は昨年、今年と2年連続でJリーガーを育成。これまで関東大会予選やインターハイ予選を制しているが、今回、選手権予選優勝で新たな一歩を踏み出した。以前、根引監督は同じく“レイソルアカデミー”の柏U-18と同じ取り組みをするのではなく、「ボールを握っていくとか変わらないけれど、個人の強みを伸ばしていくことは大事にしている」と語っていたが、質の高いトレーニングの中で個を伸ばした選手たちが千葉突破。年々力を積み上げてきた中で、選手たちの意識も変わってきているようだ。

 根引監督は「選手一人一人の取り組み方というものも、年々変化してきているのかなと。本当にレイソルと相互支援をやっている中で、子どもたちもプロというものを少し身近に感じることができてきた中で、どうすれば、どういうことをしていけば、その可能性が広がっていくのか感じながらやれるようになってきているのが、こういう結果になっているのかなと思います」と頷いた。

 また、吉田は「レイソルと支援関係を持っている中で、同じ学校内にレイソル(U-18)のアカデミーの選手がいたり、紅白戦をレイソルの選手とやる中でレベルの高いサッカーができるのは他のサッカー部とは違うところかなと思います」と日体大柏だからこそできた成長について説明する。質の高いトレーニングや、日体大柏の同級生でもある柏U-18の選手たちとの活動で得た技術力やスピード感、強度がライバルたちを上回る武器となった。

 その強みを初の選手権でも発揮するか。吉田は「全国優勝を目指しています。自分たちは魅せるサッカーをして、全国でも良いサッカーをできるようにやっていきたい」と宣言。新たな取り組みを積み重ね、9年続いた市立船橋、流通経済大柏高の2強時代をストップした日体大柏が、次は全国舞台で躍進する。

(取材・文 吉田太郎)
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