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「失点してもいいから攻撃しよう」…17回目の出場に王手の広島皆実、攻撃力に加えて安定した守備で会心の勝利

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MF藤井永遠(3年)が広島皆実高の3点目を突き刺す

[11.12 高校選手権広島県予選準決勝 広島皆実高 3-0 沼田高 広島広域公園第一球技場]

 第101回全国高校サッカー選手権広島県予選準決勝が12日に行われ、第2試合では広島皆実高が沼田高を3-0で下し、2年ぶり17回目の出場を目指す20日の決勝に勝ち上がった。

 立ち上がりからしっかり守備ブロックを作る沼田に対し、広島皆実は巧みにボールを動かしながら揺さぶってチャンスを作り出す。前半7分には右からのセンタリングをFW藤井颯天(3年)がヘッドで合わせたが、沼田GK内山結介(3年)の好セーブに阻まれた。

 沼田はFW熊田俊太(2年)をターゲットにして反撃に転じ、19分にはロングパスに反応して抜け出すも、右足シュートは枠を捉えない。32分にもロングパスから背後のスペースを突いたが、広島皆実GK大代初芽(3年)がエリア外に飛び出して足でクリア。前半はどちらも得点を奪えず、0-0でハーフタイムを迎えた。

 広島皆実は前半に10本のシュートを放っており、小熊和人監督はハーフタイムに「悪くないサッカーをしているから、継続していこう。攻撃的に、勇気を持ってプレーすれば変わるから」と指示を出したという。その通りに後半も押し気味に進めると、12分に待望の先制点。複数の選手が絡んでの鮮やかなパス・アンド・ムーブでエリア内左サイドに侵入すると、FW岡本敬大(2年)のパスをFW藤井颯がワントラップから右足で蹴り込んだ。

 これで勢いに乗った広島皆実は18分、今度は右サイドを崩し、センタリングをMF杉原優希(3年)がヘッドで合わせたが、わずかに右に外れる。だが、その後も攻め続け、31分にはFW岡本のCKを中央でFW藤井颯がヘッドで合わせ、この日2点目でリードを広げた。

 広島皆実は36分にも左サイドから攻め込み、右サイドでこぼれ球を拾ったMF藤井永遠(3年)が、ニアサイド上を破る強烈な右足シュートを突き刺して3点目。沼田のシュートを前後半で3本に抑えるなど守備も安定感のあるところを見せ、完封勝利を飾った。

 選手権予選では10年連続となる決勝進出を果たした広島皆実だが、今年度は苦しい状況が続いた。プリンスリーグ中国で4月の開幕2試合は連勝したものの、その後は勝てなくなり、8月から選手権予選による中断前までは9連敗。10チーム中9位で県リーグへの降格圏に沈んでいる。

 それでも選手権予選に向けては、失点の多さを改善するための布陣変更に加えて「攻撃が好きなチームなので、失点してもいいから攻撃しよう、ということでやってきた」と小熊監督は振り返る。ベスト16から始まった予選は初戦が2-1、準々決勝が10-1と、ある意味で狙い通りの戦いを見せ、準決勝では攻撃力に加えて守備も安定し、会心の勝利を収めた。

 20日の決勝では広島国際学院高と対戦する。昨年の選手権予選、今年のインターハイ予選と、どちらも決勝で瀬戸内高に敗れているだけに、キャプテンのFW中谷颯太(3年)は「決勝までの1週間、できることを全員で全力でやって、最後は笑って終われるように頑張りたい」ときっぱり。3連敗するわけにはいかない。三度目の正直で勝利をつかみ、出場権を奪還する。

(取材・文 石倉利英)
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