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昨年度は夏も冬も全て0-0PK戦で敗退。「負けても攻撃サッカーを」の尚志が3-0発進

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尚志高は攻め続けて3得点。攻撃的右SB鈴木大翔(左)は攻め上がって決定的なシュートも。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.29 選手権1回戦 尚志高 3-0 徳島市立高 ニッパ球]

「点を取られても取り返すチームでやりたい。本当に何年も悔しい思いをして、PKで負けてとかだったので。負けても攻撃サッカーをしようとやり続けて、試合前も言っていたので3点取れてホッとしています」。攻め勝った初戦。尚志高(福島)の仲村浩二監督はまず得点を奪っての勝利を喜んだ。

 ブレイク候補のFW網代陽勇(2年)が2得点1アシストと突出した結果を残したが、尚志はボランチの位置からPAへ攻め上がったMF岡野楽央(3年)も1得点。加えて献身的な動きでチャンスに絡んだFW鈴木虎太郎(3年)や右サイドで抜群の突破力を見せたMF安齋悠人(2年)、スプリント力を発揮した右SB鈴木大翔(3年)、交代出場で得点に絡む動きを見せたMF山本叶多(3年)ら各選手がゴールへの意識高くプレーしていた。

 この1年間、目指してきたのは、どんな試合でも点を取るチームだ。“怪物”CBチェイス・アンリ(現シュツットガルト)を擁した昨年度、尚志はインターハイ、選手権、プレミアリーグプレーオフの計4試合無得点。全てPK戦決着となり、三度敗れて次ステージへの道を閉ざされている。

 今年のインターハイでは後半終了間際に岡野がPKでゴールをこじ開けたものの、再びPK戦で敗退。絶対に攻撃で上回ることを目指してきたチームはこの日、3得点。ようやく前後半で決着をつけた。

 最終ラインから攻め上がり、流れの中で決定的なシュートも放った鈴木大はチームの変化について説明する。「去年に比べて今年は自主練でシュートを打っている選手も多いですし、早く来てPKだったりそういう練習している選手も多いので、意識が高いです」。練習から1本のシュートにこだわり、外せばチームメートの厳しい指摘も。1点へのこだわりは守備面でも見られた。

 3点差の状況でも無失点を求める声がピッチ、ベンチから飛んでいた。鈴木大は左サイド寄りの位置まで幅広くカバーして相手の攻撃を阻止。相手の攻撃をことごとく潰していたCB山田一景主将(3年)らとともに無失点勝利に大きく貢献した。

 2回戦へ向けては、「まず守備から入って安斎とか前にいるのでそこに繋げて守備からサポートしていきたい」とまず守備から入ることを口にした上で、「今日アシストも得点もなかったので、次の試合は両方できなかったので次はできるように頑張ります」と攻撃面での活躍も誓った。

「優勝が目標なので。全然できるメンバーだと思うので、一戦一戦集中してやって終わりたいです」と鈴木大。仲村監督は課題も口にする。「途中何回かボケたところがあって、点を取った後とか軽いプレーがあると持っていかれてしまうのが全国大会。一瞬の油断や軽いパスは絶対に無しにと言おうと思います」。会心の初戦に満足することなく、チームを引き締めて2回戦も攻め勝つ。 

(取材・文 吉田太郎)
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