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マネージメントの部分含めて「甘かった」。徳島市立期待の世代は怪我、コロナに泣き、夏冬初戦敗退に

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四国の強豪・徳島市立高は無念の初戦敗退。U-17日本高校選抜GK藤澤芭琉は涙が止まらず。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.29 選手権1回戦 尚志高 3-0 徳島市立高 ニッパ球]

 期待の世代は実力の全て出しきれないまま戦いを終えた。徳島市立高(徳島)は尚志高(福島)との強豪校対決に屈し、初戦敗退。試合後、U-17日本高校選抜GK藤澤芭琉(3年)ら選手たちの涙は止まらなかった。

 守備に重きを置きながら、DF瀬口竣介(2年)やMF山座拓達(2年)の迫力のあるボール奪取、速攻で渡り合った。前半8分、FW林秀太(3年)の右CKからDF稲川陽友(3年)のヘッドが枠を捉えるが、相手GKの好守にあうと、直後に小さなミスが絡んで失点。23分にはFW秋月大和(3年)の落としから林が左足シュートを放つなど反撃したが、河野博幸監督は全体的に精度を欠いたことを指摘する。

 徳島市立は新型コロナウイルスの感染拡大によって、大会直前に予定していた大学生との練習試合が全てキャンセル。また、米子北高(鳥取)との練習試合も大雪で中止になってしまうなど、試合勘を取り戻すことができないまま本番を迎えていた。

 今年は攻守に力のある世代。試合の中でスピード感に慣れ、1点差で食い下がった。だが、終盤に2失点して0-3。個々の質が高い尚志との差が出てしまった部分も確かにあるが、大会直前のアクシデントの影響が大きく出てしまう内容、結果になってしまった。

 河野監督は「相手のスピード感とかルーズボールのところとか全部負けているところがあったので、自分たちは拾えている部分もあったけれど(それをまた)奪われたり、試合勘とか出せなかったのはかわいそうだった」。今年のチームであれば、もっとやれたはず。それだけに残念な敗戦だ。

 今年、徳島県はインターハイの開催県だった。地元インターハイを一つの目標に強化されてきたチームは上位進出が十分期待できる実力を身に着けていたが、主力選手の負傷離脱が響き、初戦敗退(対矢板中央高、1-2)。選手権でもアクシデントが続いてしまった。藤澤、林、稲川ら個性もある今年のチームについては、指揮官も「春先の怪我ない時までは良かったので行くんじゃないかと」というほど。だが、怪我、コロナの影響もあり、全国1勝が遠かった。

 河野監督は「マネージメントも含めてスポーツ、サッカーなはず。甘かった。勝負かかったところで出てくるのは、この子たちも、こっち(コーチングスタッフ)も甘かったところかなと思いますね」と指摘する。

 ただし、かつてインターハイ、全日本ユース(U-18)選手権を制した歴史を持つ名門校のベースは年々高まってきている。「メンバー見ていても全国である程度勝てるようなメンバーが揃ったので。今の下の子たちもある程度揃ってきている。もうちょっと個のところも上げていかないといけないけれど、もっとグループで勝負できるように。勝負するためにもっと上手にできるようにやっていきたい」と河野監督は語る。今年はピッチ外を含めて日々の過ごし方、マネージメントの重要性を学ぶ一年に。選手権のピッチを経験したDF山本煌大(2年)と山座、瀬口を中心に課題へ取り組み、来年は全国で勝ち上がる。
 
(取材・文 吉田太郎)
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