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「最後の最後のワンプレーまで諦めない」…6年ぶり出場の佐野日大、土壇場決勝点で奈良育英を撃破

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奈良育英高を下した佐野日大高が2回戦突破(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.31 全国高校選手権2回戦 佐野日大高 1-0 奈良育英高 味フィ西]

 第101回全国高校サッカー選手権2回戦が31日に行なわれ、味の素フィールド西が丘の第1試合では6年ぶり9回目の出場となる佐野日大高(栃木)と2年連続15回目の出場となる奈良育英高(奈良)が対戦。スコアレスのまま迎えた後半アディショナルタイムに決勝点を奪った佐野日大が3回戦へと駒を進めた。

 ファーストシュートを放ったのは奈良育英だった。前半13分、縦パスを受けたMF水流大翔(2年)が相手選手2人に囲まれながらもPA内まで持ち込んで右足でフィニッシュ。シュートはGK平岡倖輝(2年)に阻まれたものの、積極的な姿勢を示した。

 しかし、その後、ペースをつかんだのは佐野日大。最前線のFW大久保昇真(3年)が力強くボールを収め、シャドーのFW田村一心(3年)とFWヒアゴンフランシス琉生(3年)がサポートに入る。たとえボールを失っても素早い攻守の切り替えで奈良育英の選手から自由を奪い、蹴り出されるロングボールをはね返し、セカンドボールを回収して再び攻撃へとつなげた。

 そして、ゴールにも迫る。前半16分にはMF向井俊貴(3年)が蹴り出したFKに飛び込んだ大久保がヘディングで合わせるが枠上に。さらに同24分には向井が枠を捉えたFKを放ち、こぼれ球をDF青木柾(3年)が詰めようとするが、ともにGK伊藤圭介(3年)に阻まれる。そして、同35分には田村のパスからフリーでPA内に走り込んだDF原朝哉(2年)が狙うも、カバーに入ったDF竹田秦(1年)にクリアされてしまった。

 0-0のまま後半を迎えると、奈良育英はFW井登奏汰(2年)とMF山本浬(2年)を投入。最前線に入った182センチの井登が基準点となって押し込もうとするが、佐野日大も体を張って粘り強く対応し、なかなか好機を作らせない。

 奈良育英同様、佐野日大も後半開始から選手を交代しており、FW中埜信吾(3年)を最前線に送り込んだ。後半9分にはMF吉岡汰斗(3年)が蹴り出したFKに中埜が飛び込むも、ダイビングヘッドはGK伊藤の正面に飛んでしまう。そして、同30分にはMF江沢匠映(3年)が投入され、終盤は江沢のロングスローからゴールに迫る。

 奈良育英守備を崩し切れなかった佐野日大だったが、後半アディショナルタイムについにゴールをこじ開ける。向井が左サイドから蹴り出したFKの流れからFWヒアゴンフランシス琉生(3年)がシュート気味のボールをゴール前に送ると、コース上にいた中埜が右足のシュートで蹴り込んで決勝点となるゴールを記録した。

 土壇場で生まれたゴールで1-0の完封勝利を収めた佐野日大の海老沼秀樹監督は「全国で勝つことは大変なことなので、どんな形でも勝つことが次につながる。最後の最後のワンプレーまで諦めないでプレーすることを信じてやってくれた結果だと思う」と勝利を目指して戦い抜いた選手たちを労った。

(取材・文 折戸岳彦)
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