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「平野先生を胴上げしたかった」ベスト8前に夢破れた履正社MF名願斗哉、次はプロのステージへ

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川崎F内定という重圧に負けず個人技で打破したMF名願斗哉(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権3回戦 佐野日大高 1-1(PK5-4)履正社高 駒沢]

 後半立ち上がりのスローイン、ロングスローから佐野日大高(栃木)にとってこの試合唯一のシュートで先制点を許してしまう。履正社高(大阪)の絶対絶命の状況を救ったのは、川崎F内定の注目MF名願斗哉(3年)だった。

 DF西坂斗和(3年=徳島内定)がペナルティエリアに入れたパスを、名願が受けると、深い切り返しでマークしていたDFをかわす。「スライディングくるだろうなと思って、キックフェイントをしてあげようと思ったんですけど、DFとの距離があってゴールが見えた」という名願は、右足を一閃。ペナルティエリア内に10人が引いて守る佐野日大守備陣をこじ開けた。

 頼れる10番の得点。残り22分。逆転も期待されたが、最後まで2点目は遠かった。「パワープレーも考えたんですけど、目指してるところはそうじゃないなと思って、やりませんでした」と平野直樹監督は、崩して奪うことに最後までこだわった。結果としてPK戦での敗戦になったが、「それまでに崩しきれなかったところが我々の課題です」と80分での決着がかなわなかったことを悔やんだ。

「このメンバーであと3試合やりたかったですし、国立で勝って、平野先生を胴上げしたかったです」。名願は悔しさを圧し殺して、仲間と指揮官への思いを語る。

 中学年代はG大阪ジュニアユースでプレーしていた名願は、履正社へ進むことを決めたのは、「平野先生が声をかけてくれた」からだという。指揮官は、教え子へ愛ある叱咤激励を送った。

「いろいろ注目される中で、マークも厳しい中で、点も取るというのは彼の持っているひとつの才能なのかなと。ただ、あくまでも今の年代ってのは18歳から15歳、年齢の制限があっての大会での活躍なので。彼はそれを飛び越していかなきゃいけないということを考えると、物足りないといえば物足りない。マークがついていてもやっぱりやらなきゃいけないし。そこは今後もっとタフにやっていってもらいたい」

 今月には新チームである川崎フロンターレも始動、1月22日にはサポーターへのお披露目となる新体制発表会見も行われる。

「日本代表になって、W杯で優勝するという夢があるので、そこに向けて1年目から開幕スタメンで出られるようにがんばっていきたいと思います」。名願は次のステージを見据えていた。

(取材・文 奥山典幸)
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