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「面倒見のいいお兄ちゃん」福田師王の落としから神村学園の2年生FW西丸道人が鮮やか同点弾

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同点ゴールを決めた神村学園FW西丸道人

[1.4 選手権準々決勝 青森山田 1-2 神村学園 等々力]

 “兄弟”のような関係の2トップが神村学園高(鹿児島)の快進撃を支えている。2回戦の山梨学院戦(○3-2)に続いてFW西丸道人(2年)とFW福田師王(3年、ボルシアMG内定)がともにゴール。2トップそろい踏みで前回王者の青森山田を2-1の逆転で破った。

 0-1で迎えた後半16分、MF大迫塁(3年)からのロングフィードを福田が胸で落とし、西丸が前を向いてボールを受けた。「抜け出した瞬間、ゴールしか見てなくて、絶対に自分で行ってゴールしようと思った」。巧みなステップでDFをかわし、左足一閃。「最後は左足の得意な形で決められて良かった」とゴール右隅にねじ込んだ。

 後半20分の勝ち越しゴールも、西丸が鋭い切り返しから放った左足シュートのこぼれ球を福田が押し込んだもの。「右足と左足、どっちも蹴れるので、前半からクロスではどちらでも蹴れるところを見せていた。得点のところも右足でも行けたと思うけど、相手から読まれない点では左右両足で蹴れるのは自分の特徴かなと思う」と胸を張る。

 前線で福田がどっしりと構え、その周囲を西丸が流動的に動く。守備でも献身的なハードワークを見せる西丸だが、「それによってチームが活性化して勢いづくし、自分の良さも出る。うちの形の一つになっている」と指摘。「(運動量の部分では)多少きついけど、(福田に)相手の選手が食いつく分、自分がおいしいところをもらえているところもある」と笑みをこぼした。

 絶対的エースである福田との関係性について「自分がパスを出すのは簡単。でも、それだと来年の自分の成長につながらない。スーパースターをおとりに使ったり、スーパースターができないようなプレーも目標にしている。遠慮は考えていない」と言い切る。ピッチ上では競い合う存在だが、ピッチを離れれば、一人の優しい先輩だ。普段から西丸を含め、DF吉永夢希(2年)、FW名和田我空(1年)ら下級生と一緒にいることが多いという福田は「面倒見のいいお兄ちゃん」(西丸)で、「ご飯に行ったらおごってくれる。お兄ちゃんというか、兄弟みたいな感じ」と明かす。

 2回戦の山梨学院戦後には福田も西丸について「(2人の呼吸は)合いますし、『道人じゃないと』という思いもあります」と厚い信頼を寄せていたが、毎朝の自主練習も一緒に取り組んでいるという。西丸は「学校が始まる前に筋トレルームを使えるんですが、(福田は)始発で通っていて、自分も誘ってもらって夏から行くようになった」と、168cmながら屈強なDF陣相手にも負けないフィジカルの強さを磨いてきた。

「みんなの分まで球際の部分や走ることは意識している。もともとフィジカルには自信があった。当たる瞬間に絶対に止める強い気持ちでぶつかれば負けることはない」。福田に大きな注目が集まるが、その相棒である西丸の成長ぶりにも目を見張るものがある。次戦は初の決勝進出が懸かる準決勝。「自分は走ってチームを助けることを優先して、脇役で最後のおいしいところだけチョロっと持っていけたら」と笑顔で意気込んだ。

(取材・文 西山紘平)

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