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チャレンジだった岡山学芸館への入学から3年…井上斗嵩主将「最高のチームで、嬉し涙で終えることができた」

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優勝旗を初めて岡山県に持ち帰る岡山学芸館DF井上斗嵩主将(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.9 選手権決勝 岡山学芸館高 3-1 東山高 国立]

 チーム一丸となったつかんだ優勝だ。岡山学芸館高(岡山)の高原良明監督は「スター選手がいないので、みんな1人1人が頑張ってくれました」と選手たちをたたえる。J内定選手や世代別代表選手のような、絶対的な存在がいるわけではない。それはいまの岡山学芸館にとって、ネガティブな要素ではなかった。

「うちは代表経験がある選手もいないですし、県の中で、ジュニアユースのときには2番手、3番手ぐらいの選手だった子たちが多いと思うんですけど、サッカーは個人スポーツではなく、やっぱりチームスポーツ。チームが一つになってやれば、どんな強敵でも倒せる、勝負できる、っていうことを証明してくれたんじゃないかなと思います」(高原監督)

 DF井上斗嵩主将(3年)は、「勝ちたい気持ちは負けない」と大会を通して繰り返してきた。その気持ちの強さが優勝の原動力になっていると井上は指摘する。

「技術が高い選手は日本全国いっぱいいると思いますけど、メンタル面だったりでタフに戦えるのが大事だと思います。自分たちは少しの技術と、気持ちがみんな本当強かった。それがこういう結果につながったと思います」(井上)

「新チーム当初から掲げてできた全国ベスト4」(井上)という目標を大きく越える「日本一」。主将の井上は、新チームになった当初は「去年のキャプテンだったらどうしたとか、考えていた」とリーダーとしての在り方に葛藤があったという。そんなときに三宅雄高コーチに相談したところ、「比べたりしなくていいから。自分が思っているようにやったらいいと思う」というアドバイスを受ける。それから、自信を持ってキャプテンを務めることができたという。

 中学年代は岡山県倉敷市にあるハジャスFCでプレーしていた井上は、岡山学芸館への入学を「自分にはレベルが高すぎるから無理だと思っていた」。それでも「強い高校から声をかけてもらったので、チャレンジしてみよう」と自らを奮い立たせ、挑戦する道を選ぶ。

「この最高のチームで、嬉し涙で終えることができた。試合が終わった瞬間ホッとした」。試合終了の笛が鳴ると、キャプテンはピッチに仰向きになって両手で顔を覆って体を震わせていた。

「ずっと育ってきた岡山で、その岡山の歴史を変えることができて、本当によかったです。誇りに思います」。101回目の大会で初めて選手権の優勝旗を岡山県へ――、井上は胸をはった。

(取材・文 奥山典幸)
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