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“学芸館のカンテ”MF木村が2発!岡山学芸館が岡山県勢初の日本一!

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岡山学芸館高が初優勝。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.9 選手権決勝 岡山学芸館高 3-1 東山高 国立]

 次の100回への第一歩。「NEXT 100」の選手権を岡山学芸館が制す――。第101回全国高校サッカー選手権は9日、東京・国立競技場で決勝を行い、ともに初優勝を狙う岡山学芸館高(岡山)と東山高(京都)が対戦した。岡山学芸館がU-17日本高校選抜候補MF木村匡吾(3年)の2ゴールなどによって3-1で勝利。岡山県勢初の日本一に輝いた。

 岡山学芸館は同校初、岡山県勢16年ぶりとなる決勝進出。初の日本一を掛けた決勝の先発は、2回戦から5試合連続で同じ11人だった。GK平塚仁(2年)、右SB福井槙(3年)、CB田口大慎(3年)、CB井上斗嵩主将(3年)、左SB中尾誉(3年)。中盤は木村と山田蒼(3年)のダブルボランチ、右SH岡本温叶(3年)、左SH田邉望(2年)、トップ下が2戦連発中の田口裕真(3年)、そして1トップは3得点で大会得点ランキング首位タイの今井拓人(3年)が務めた。

 一方の東山は同校初、京都府勢10年ぶりの決勝進出。1回戦から全て同じ先発メンバーの東山は山城高、洛北高に続く京都府勢3校目となる全国制覇をかけた決勝も同じ11人が先発を務めた。GK佐藤瑞起(3年)、右SB石井亜錬(3年)、CB新谷陸斗主将(3年、U-17日本高校選抜)、CB志津正剛(2年)、左SB仲里勇真(3年)、中盤は真田蓮司(3年、U-17日本高校選抜)と松橋啓太(3年)のダブルボランチ、C大阪内定の右SH阪田澪哉(3年、U-18日本代表)、左SH清水楓之介(3年)、前線は北村圭司朗(3年)と豊嶋蓮央(3年)が2トップを組んだ。

 ともに手堅い立ち上がりから、徐々に東山がペースを握る。真田、松橋が前向きにボールを持つ回数を増加。16分には右中間でボールを持った松橋が意表を突くグラウンダーのスルーパスを通し、抜け出した北村のラストパスに豊嶋が飛び込む。

 対する岡山学芸館は木村がアプローチ鋭い守備を見せたほか、井上が幅広くカバーリング。また、左SB中尾が相手の高速アタッカー・阪田に食らいついて対応する。そして、GK平塚の好フィードなどから攻め返すシーンもあった。

 その岡山学芸館がファーストチャンスを先制点に結びつける。25分、センターライン付近で岡本がボールを収めると、田口裕がスペースへ配球する。これで右サイドを抜け出した今井が、ゴール方向へのドリブルからラストパス。ボールはゴール方向へ走りながら処理しようとした東山CB新谷の足に当たり、ゴールラインを越えた。

 ビハインドを負った東山は、すぐにギアを上げて反撃。28分にはPAへ潜り込んだ真田が左足を振り抜く。岡山学芸館も今井を起点とした攻撃から追加点を狙うが、カウンターなどから同点機を作っていた東山が追いつく。44分、東山は松橋の素晴らしい縦パスで北村が左サイドへ抜け出す。そして、PAへ持ち込んでマイナスのラストパス。これに走り込んだ真田がPA外側から右足ダイレクトで撃ち抜くと、ボールはクロスバー下側を叩いてゴールを破った。

 追いつかれた岡山学芸館は後半5分、右サイドを抜け出した今井がマイナスのラストパス。東山はCB新谷が身体を投げ出してクリアするが、その直後、再び岡山学芸館がリードを奪う。7分、岡山学芸館は田口裕とのコンビで中尾が左足クロスを上げる。これをファーの木村がヘッド。登録165cm、“学芸館のカンテ”木村の一撃がゴール左へ決まり、2-1となった。

 東山は12分、波状攻撃でゴールを破ろうとするが、岡山学芸館DFがシュート、クロスを連続で阻止。岡山学芸館は直後に田邉とMF木下瑠己(2年)を入れ替える。14分、東山はPAでこぼれ球を拾った阪田の折り返しを真田が決定的な形で合わせるが、ボールは枠を外れた。

 リードした岡山学芸館はオープンスペースを的確に突きながら追加点を目指す。20分には木下の右足ミドルが右ポストをかすめた。押し込んで同点を狙う東山は26分、清水とMF大谷彩斗(3年)をスイッチ。29分には左ロングクロスに走り込んだ阪田が頭で合わせたが、シュートはクロスバーを叩いてしまう。

 東山は狭いスペースを攻略しながらゴールへ迫るも、岡山学芸館DF陣が身体に当て簡単には決定打を打たせない。逆に35分、岡山学芸館は右サイドを崩し、山田の折り返しを今井が合わせる。攻撃姿勢を持ち続けて終盤の時間帯を戦った。

 東山は37分、阪田と豊嶋に代えてFW中野翔真(3年)とFW平尾和麿(3年)を同時投入。だが、岡山学芸館は39分、福井が右サイドからロングスロー。ファーサイドへ抜けたボールを木村が右足ボレーで決めて3-1と突き放した。

 守備面での評価の高い木村が決勝で2発。東山は40分に石井とDF保坂崇人(3年)を、岡山学芸館は43分に田口裕とMF田村日夏汰(2年)をそれぞれ交代した。岡山学芸館はその後も集中した守りを継続して3-1で勝利。98年創部、5度目の出場で選手権初制覇を成し遂げた。

(取材・文 吉田太郎)
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