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異質のパス連発して同点弾演出も、東山MF松橋啓太は後半の失速悔やむ。「もっと成長して大学では日本一を」

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東山高MF松橋啓太は好パスを連発したが……(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.9 選手権決勝 岡山学芸館高 3-1 東山高 国立]

 前半、赤いユニフォームの「8」は最も危険な存在だった。東山高(京都)MF松橋啓太(3年)は16分、右サイドで戻しのパスを受けると、相手DF間へダイレクトの縦パス。パス1本で岡山学芸館高(岡山)の4選手を置き去りにし、チャンスの起点となった。

 また、23分にはセンターサークル付近から持ち上がると、ノールックのスルーパス。反応したMF阪田澪哉(3年、C大阪内定)が上手くコントロールできていれば、1点になっていてもおかしくないようなシーンだった。

 松橋はビルドアップに加えて、バランスを取る役割やインターセプトでもチームに貢献。そして、前半44分にはサイドでボールを引き出してからDFをわずかに外し、左オープンスペースへ絶妙な縦パスを通す。

 これでFW北村圭司朗(3年)が抜け出し、MF真田蓮司(3年)が同点ゴール。松橋は「試合前からあそこのスペースが空くというのはミーティングで話してあったので、そこは試合中多く狙っていた」と振り返る。前半終了間際の時間帯に自らのパスから同点ゴール。松橋はカウンターのチャンスを逸したシーンこそあったものの、ロングスローを含めて前半、相手にとって怖い存在になり続け、ゴールも演出した。

 準決勝では福重良一監督も「最高のプレー」と評した同点弾。そして、決勝でも目立つ動きを見せたが、後半に失速してしまう。「前半は(真田)蓮司と2人で良いプレーができていたんですけれども、後半は僕一人が試合から消えてしまっていたところでは本当に自分の力不足が分かった試合になったかなと思います」と首を振る。

 チームは後半に突き放されて準優勝。「試合がキツくなっていくに連れて自分も消えてしまっていて、本当にボランチというポジションをやっているにも関わらず、ボールにも係われていなかったので、そこに関してはもっと自分のレベルを上げないといけない」と成長を誓っていた。

 真田らとともに大会優秀選手に選出された松橋は、日本高校選抜候補に選出される可能性が高い。「去年、蓮司とかがU-17の高校選抜とか選ばれて、自分は選ばれなくてそこは悔しかったですし、今年はそういうチャンスがあるのであれば狙っていきたいです。今日も見せたんですけれども、ロングフィードは自分の特長でもあるのでアピールしていきたいと思います」と力を込めた。

 そして、来季関東大学1部リーグへ昇格する東海大で日本一へ再挑戦。「本当にこの悔しさを忘れることはないですし、大学1年目から試合に出るというところでは今でも意識していて、本当に高校よりも厳しいかもしれないですけれども、折れずに自分の今のレベルをもっと成長して、大学では日本一を獲りたいと思います」。180cm近い長身で非凡なパス能力を持つMFは注目度が上昇中。大学サッカーで日本一を勝ち取り、さらに上のステージに立つ。 

(取材・文 吉田太郎)
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