beacon

[選手権予選]決定力やボールを動かす力、強度、ガムシャラさでも差を創出。2年生FW高岡ハットの日章学園が6発V!:宮崎

このエントリーをはてなブックマークに追加

日章学園高が2連覇を達成

[10.28 選手権宮崎県予選決勝 日章学園高 6-1 宮崎日大高 ユニスタ]

 選手権ベスト4以上、日本一を狙う日章学園が6ゴールで全国切符獲得! 第102回全国高校サッカー選手権宮崎県予選決勝が28日、児湯郡新富町のユニリーバスタジアム新富で開催され、日章学園高が2年連続17回目の全国大会出場を決めた。インターハイ予選優勝校の宮崎日大高と対戦した日章学園は、U-17日本代表FW高岡伶颯(2年)の3得点の活躍などによって6-1で快勝。インターハイ予選決勝の雪辱を果たした。

 目標は選手権4強以上とプレミアリーグ昇格。日章学園の原啓太監督は「僕としては、今年は力のある代だと思っているので、何としても県大会で負けることがないようにセットプレーは色々と準備してきました」という。例年以上とも言えるほど、勝利へのガムシャラさも感じさせた日章学園。立ち上がりから高岡を中心としたハイプレスで相手を押し込み、CB吉川昂我(2年)がロングスローを連発する。そして4分、早くも先制点を奪う。

 右サイドでの奪い返しから、「攻撃スキル、切り裂く能力が高い」(原監督)というMF南創太(2年)が右サイドを突破。今夏からトップチームでプレーするレフティーのラストパスを「南が凄く良いスピードに乗ったドリブルから、相手の隙をついて出してくれたので、あとは決めるだけでした」と振り返る高岡が右足ダイレクトでゴールへ流し込んだ。

 だが、序盤は宮崎日大も鋭い奪い返しからの速攻を連発。10番FW大塚虎太郎(3年)が高い位置で起点を作り、そのキープ力や展開力でチャンスに結びつける。11分、相手DFの対応の乱れを突いたFW樋田聖大(3年)がGKをかわしてシュート。これは決め切れなかったものの、直後の右CKのこぼれをMF松添隼大(3年)が左足のスーパーミドルで決めて同点に追いついた。

 前半からややオープンな攻め合いに。宮崎日大の流れになりかけていたが、ここで日章学園が差を生み出す。21分、右サイドで南がボールを収め、それを追い越した右SB梶原壮一郎(3年)が中央へラストパス。最後は負傷欠場したFW田上遼馬(3年)に代わって先発したFW篠田星凪(3年)が右足で決め、勝ち越した。

 練習通りの形で2-1。日章学園の原監督は「追いつかれた後、少しバタついたんですけれども、子どもたちが冷静に普段やっていることを、後はインテンシティ高く相手の陣地でボールを奪って、一生懸命走ってくれたのでそこが一番の勝因かなと思っています」と振り返る。夏は蹴り合いで自滅。だが、この日はロングスロー含めて攻守に奮闘したMF小峠魅藍(2年)やMF安藤優翔(3年)、左SB阿部真大(3年)らが冷静にボールを繋ぎ、自分たちのリズムに持ち込んだ。
 
 また、注目FW高岡が圧倒的なスピードでプレッシングをかけて相手の攻撃を乱す。そして、宮崎日大の南光太監督が「最後の決定機のところで日章さんの方が大きく上回っていた」という部分も差となった。24分、日章学園は中央から3人、4人と係る形でボールを前進。最後は高岡からのパスを受けた10番MF皆川春輝(3年)がDFを外す動きから右足シュートを叩き込む。さらに39分、左ショートコーナーから皆川の上げたクロスをCB藤本晃士主将(3年)が頭で決め、4-1で前半を折り返した。

 後半も日章学園が立ち上がりから連続でチャンス。ここを凌いだ宮崎日大も左SBから右サイドへ移った横浜FC内定DF松下衣舞希(3年)の攻撃参加や、左サイドに投入されたMF黒木琉亜(3年)の仕掛けなどサイド攻撃が好転する。

 だが、チャンスを作るものの、日章学園は後半に存在感を高めた藤本やGK吉村元翔(3年)を中心に集中した守り。また、小峠らがセカンドボールを拾って攻撃に繋げる。そして16分、南のスルーパスで高岡が抜け出してシュート。一度は止められたものの、こぼれ球を泥臭くゴールへ蹴り込み、5-1とした。日章学園は交代出場の選手たちも決定機を作るが、宮崎日大も諦めずに際の攻防で食い下がる。それでも、日章学園は40+3分に高岡が抜け出しからこの3点目のゴールを決め、喜びの最中に試合終了の笛が鳴った。

 日章学園は夏の敗戦から「相手どうこうではなくて、我々がこだわってやっている球際、切り替え、運動量、あとボールを動かす、技術と判断、普段やっていることをレベルアップして行こう」(原監督)と取り組んできたという。この日は守備面や決定力の部分など課題は残ったものの、堂々の6発V。プリンスリーグ九州1部でも暫定2位につけるチームは選手権4強以上、プレミアリーグ昇格という目標を実現するだけの力を示している。

 原監督は「(この後、)主力選手が怪我や代表活動でいないんですが、まずプリンスリーグあと3つしっかり勝ってプレミアリーグの参入戦にまずしっかりと行けるように準備したいなと思います」と語り、藤本は「去年の悔しさ(選手権初戦敗退)を胸に始まったチーム。まずは選手権の舞台に立つことができて良かった。日本一という形でまた宮崎に帰って来れるように頑張りたい」と力を込めた。この後、高岡がU-17ワールドカップ出場のため、最大で1か月間以上不在。けが人も出ている中、期待の世代はチーム全体でさらに進化し、白星を重ねて目標に近づく。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2023
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP