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敵将も「全てランクが違った」と脱帽…尚志が大量7得点!! 学法石川を圧倒し、全国に王手:福島

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尚志高が7発快勝で決勝へ

[11.3 選手権福島県予選準決勝 尚志高 7-1 学法石川高 郡山西部サッカー場]

 第102回全国高校サッカー選手権の福島県予選は3日、福島県郡山市の郡山西部サッカー場にて準決勝が行われ、第1試合は尚志高学法石川高が対戦。7-1で勝利した尚志が決勝へ駒を進めた。

 プレミアリーグEASTで2位につけ、青森山田高と優勝争いを繰り広げている尚志相手に、20年準決勝以来の勝利を目指す学法石川がどう戦うかが注目されたが、前半早い時間帯から尚志が全国トップクラスの実力を存分に発揮した。4分、FW笹生悠太(3年)が倒され、PA近くでFKのチャンスを得る。MF藤川壮史(3年)の直接FKが豪快にニアサイドのゴール左隅に突き刺さり、幸先良く先制に成功した。さらに13分、DF冨岡和真(3年)のクロスをU-19日本代表MF安齋悠人(3年)がワンタッチで折り返し、中盤から飛び込んだ藤川が「大外に安齋君がいるのが見えて、折り返しが来たので上に浮かさないように打ちました」と右足一閃。藤川の2ゴール目で点差を2点に広げた。

 防戦一方の学法石川だったが、稲田正信監督が「ラインを上げろ!」と選手を鼓舞。DFラインを押し上げ中盤をコンパクトにし、力強くボールを奪ってゴールを目指そうと徐々に勇気を持って前に出始める。それが実ったのが26分。ゴール左でFKのチャンスを得ると、キッカーのDF福島騎士(2年)はファーサイドを狙う。尚志GK角田隆太朗(3年)が手に当てるも、ボールはゴールネットへ吸い込まれた。

 1点差に詰め寄られ、嫌な雰囲気が漂った尚志だったが、32分、ロングボールの処理を学法石川GKとDFが誤り、こぼれ球を拾った笹生が無人のゴールにシュートを突き刺して再び2点差とした。さらに40分、CKから安齋のクロスにDF高瀬大也(3年)が右足を振り抜きゴール右隅にシュートを決めて、4-1と試合の流れをほぼ決定づけて前半を終えた。

 後半気を吐いたのは尚志の右サイドハーフMF若林来希(3年)。9分、安齋が左サイドを駆け抜け中へ切り込み、追い越す動きをした藤川にパス。藤川のマイナスのパスを受けた若林がGKが前に出たのを見逃さずゴールを決めて5点目。16分には安齋、FW網代陽勇(3年)とパスをつなぎ、PAに進入しパスを受けた若林が豪快にゴール左隅にシュートを決めた。20分には途中出場のMF吉田尚平(3年)がDFのクリアミスを拾い、パスを受けた若林がゴールを決めて約10分でハットトリックを達成した。その後、尚志は徐々に主力選手を交代させながら時間を進めて7-1で圧勝。5日に郡山西部サッカー場で行われる決勝・聖光学院高戦へ駒を進めた。

 尚志の仲村浩二監督は「助かりました。(藤川)壮史のゴールでみんなが余裕を持ってプレーできるようになりました。入りも良かったですし、ゴールできたことで落ち着けました」と藤川の序盤の2ゴールでチームが落ち着くことができたことを喜んだ。その後失点したが、プレミアリーグEASTで何度も修羅場をくぐり抜け、勝利を積み重ねてきたチームは全く焦ることは無かった。「いろんな形で厳しいゲームを乗り越えられて、プレミアが良い経験になっています」と仲村監督はこれまでの経験を選手たちが生かしてくれたことを讃えた。

 明後日の決勝を見据えて、主力選手を後半早い時間帯で交代させる中、2アシストし、2得点の起点となった安齋がフル出場だったことについては「あまり動いていなかったので甘やかしませんでした。点を取っていないですし、むしろあそこが良くなかったと思うので反省してもらいたい」と仲村監督は期待の大きさを込めて、敢えて厳しい評価を下した。安齋自身は「大量得点した後、決め切るチャンスはありました。チャンスメイクはできましたが、点は取りたいですね」と決勝でのゴールを目指し、意気込んでいた。

 一方、大敗となった学法石川稲田監督は「悔しいを通り越して、完敗ですね。全てランクが違いました。前線の決定力も、これが全国レベルなんだなと思いました」と尚志の実力を認めた。しかし、それでも5~6年前のように引いて守ることはせずに、ラインを上げて、できるだけ前でボールを奪ってゴールを目指すスタイルを貫いた。「攻撃も意図的にやろうとするとミスからカウンターを受けます。でも、それを恐れるとずっと相手ボールが続いてしまいます。点を取る術を考えてやってきて、セットプレーでしたが1点取れたので、1-2で前半終了まで行きたかったですね」とある程度積み上げてきたことを出せただけに、得点後にミスから崩れてしまったことを悔やんだ。今後に向けては「日常、毎日の生活の質を変えていきたいですね。県リーグで満足しているようでは希望がありません。365日後、またここでやれるように1日1日やれれば」と再び尚志に勝利すべく、地道な積み上げをしていこうと意欲を燃やしていた。

(取材・文 小林健志)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
小林健志
Text by 小林健志

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