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[選手権]神奈川県勢の夏の活躍が「自分たちをまた強くしてくれた」。桐蔭学園がインハイ2位・桐光学園を撃破し、決勝進出!

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桐蔭学園高が神奈川県予選決勝進出

[11.4 選手権神奈川県予選準決勝 桐光学園高 1-1(PK3-4)桐蔭学園高 等々力]

 桐蔭学園が夏の全国2位を撃破! 第102回全国高校サッカー選手権神奈川県予選は4日に準決勝を行い、インターハイ全国2位の桐光学園高桐蔭学園高が激突。1-1で突入したPK戦の末、桐蔭学園が4-3で勝った。桐蔭学園は3年ぶり11回目の優勝を懸け、12日の決勝で日大藤沢高と戦う。

 今夏のインターハイで神奈川県勢が躍進。桐光学園が過去5大会で3度目の決勝進出を果たして2位に入り、日大藤沢も3位に食い込んだ。同予選準決勝で日大藤沢にPK戦で敗れている桐蔭学園が、選手権に懸ける思いを表現。ライバル・桐光学園を破り、決勝への切符を勝ち取った。

 決して思うようなサッカーができた訳では無い。判断しながらボールを動かして攻めるスタイルの桐蔭学園だが、この日は長めの芝や相手の堅守に苦戦。SBの攻撃参加やSHを起点としたサイド攻撃など取り組んできたことをなかなか出すことができなかった。

 それでも、期待の1年生ストライカーが桐蔭学園を勢いづける。前半11分、180cmFW瀬尾凌太(1年)がロングフィードを狙おうとした相手CBのキックをチャージ。こぼれ球にいち早く反応すると、そのまま右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 瀬尾の3試合連続ゴールで桐蔭学園が先制。対する桐光学園はU-18日本代表の10番MF松田悠世(3年)がドリブル突破を連発して会場を沸かせる。20分には右サイドからのドリブルでPAを攻略し、クロスを上げるが、桐蔭学園GK神保颯汰主将(3年)が前に出てパンチ。神保は相手のスルーパスに対しても積極的に前に出てキャッチしていた。

 だが、24分、同じくスルーパスに飛び出したところで相手FWと交錯。右目の下をカットしてしまう。試合はここで10分近く中断。再開後、互いにチャンスを作り合う。38分、桐光学園はここまでパスコースを封じられていた水戸内定MF齋藤俊輔(3年)とSB加藤竣(3年)のコンビで左サイドを攻略。ラストパスをFW丸茂晴翔(2年)が1タッチシュートを狙う。

 対する桐蔭学園も40+3分、ショートパスを繋ぎ、スルーパスで抜け出した瀬尾が左足ループシュート。だが、ボールはわずかにゴール右へ外れた。桐光学園は40+8分にこの日中盤でインターセプト、セカンドボール回収を連発していたMF小西碧波(3年)が再びインターセプト。ワンツーで一気にゴール前へ潜り込み、右足シュートを打ち込んだ。だが、決め切ることができず、桐蔭学園リードで前半を折り返した。
 
 だが、後半5分、桐光学園が同点に追いつく。右サイドで前を向いた松田が鋭く切れ込んでラストパス。これをインターハイ得点王のFW宮下拓弥(3年)が右足ダイレクトで決め、1-1とした。桐光学園は先制点こそ許したものの、その後は桐蔭学園のロングボールを交えた攻撃をCB平田翔之介(3年)とCB川村優介(3年)がほぼシャットアウト。また、その切り替えの速さと強度で相手が攻め切る前にボールを奪い返していた。

 優勢に試合を進める桐光学園は攻撃陣が力を示し、松田や宮下がシュートへ持ち込む。桐蔭学園は宮下と丸茂の相手2トップ、松田と斎藤の全国屈指の両ワイドを警戒。それでも松田に幾度か突破を許していたが、時に2人、3人がかりでそのドリブルを食い止める。また、空中戦や対人守備で強さを示したCB山本蒼悟(3年)やCB西田遥翔(3年)が身体を投げ出して好守。八城修監督も「守備は凄く良かったです。凄く強力な4人に対して粘り強く身体を張ってできていたと思うし、対応も良かった」と評価していた。

 桐光学園は3バックへ移行して揺さぶりをかける。斎藤が高い位置でボールに係る回数を増やしていたものの、「ビッグチャンスが何個かあったけれど、そこを決めていれば試合も変わっていたし、自分もそういうチャンスをもっと増やしていかないといけなかった」。押し込みながらも最後のシュート精度を欠いた桐光学園、10番MF谷琉真(3年)の仕掛けなど対抗した桐蔭学園も相手の堅守を上回ることができず、試合は1-1のまま延長戦へ突入した。

 延長前半、桐光学園はMF羽田野紘矢(3年)のループパスに斎藤が走り込み、また松田がドリブルシュート。だが、この日は相手の4本を大きく上回る11本のシュートを放ちながら2点目を奪うことができなかった。桐蔭学園も交代出場MF藤田大雅(3年)がワンツーで抜け出すシーンがあったものの、シュートは桐光学園CB平田がブロック。延長の前後半20分間でスコアは動かず、決着はPK戦に委ねられた。

 先攻・桐光学園は2人目、中盤で奮闘していた羽田野の右足シュートがクロスバーをヒット。だが、直後にGK渡辺勇樹主将(3年)が藤田のシュートを止めて咆哮する。迎えた4人目、桐光学園はエースストライカーの宮下が右足シュート。だが、今度は桐蔭学園GK神保が右へ跳んでシュートを弾き出す。桐蔭学園は1人目の谷、3人目の西田、4人目の交代出場FW田村陸人(2年)がゴール。そして、5人目の右SB吉垣陽翔(2年)が右足で冷静に決め、決着をつけた。

 歓喜の中心となった神保は「同じ県内の高校が日本2位、3位となっているのは自分たちにとって、僕自身にとってもめちゃくちゃ悔しかったですし、僕自身凄く刺激になって、さらにトレーニングしなければいけないという思いにもなったので、良い刺激になって、その刺激が自分たちをまた強くしてくれたと思うので、あの経験が糧になったと思います」と胸を張る。

 夏の全国2位を突破して選手権出場に王手。八城監督は「(近年全国大会で活躍する)日藤さんと桐光さんがそういう経験をして強くなっていると思う。(自分たちも)その成長の機会を欲しているというか、そうすれば倍くらいのスピードでチームが強くなると思うので、(決勝は)是が非でも勝ちたいですね。成長の機会を逃したくない。内容も伴いたいですけれども、結果としてもチームとして勝ちたいと思います」と力を込めた。

 大一番を制したが、次が大事。神保は「ボールを持ちながらしっかりと攻撃して、ゴール前のところで粘り強い守備というのが桐蔭のサッカーだと思うので、それができるように、ここからまだ一週間あるので、しっかりと準備していきたいと思っています」。夏の雪辱戦でもある日大藤沢との決勝。今度は全国3位を乗り越え、激戦区・神奈川の頂点に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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