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団結力が武器の東海大大阪仰星、1点を守り切って近大附に勝利! 決勝の履正社戦でもらしさ発揮で「借りを返す」

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東海大大阪仰星高が決勝へ

[11.5 選手権大阪府予選準決勝 近大附高 0-1 東海大大阪仰星高 ヨドコウ桜スタジアム]

 第102回全国高校サッカー選手権大阪府予選準決勝が5日に行われ、近大附高東海大大阪仰星高が対戦。MF小林旺誠(3年)の得点を守り切った東海大大阪仰星が1-0で勝利した。

 6月に行われたプリンスリーグ関西1部での対戦では仰星が1-0で勝利したが、一発勝負のトーナメントではどうなるか分からない。仰星の選手も同じように試合が進まないのは重々承知だ。「(準々決勝から)中一日で厳しい試合になるのは分かっていました」。FW水永直太朗(3年)の読み通り、攻撃の推進力が売りのチーム同士の対戦とあって、試合序盤から往来の激しいゲームとなった。

 近大附属は馬力のあるFW上田泰地(3年)を中心としたアタッカー陣の抜け出し、仰星は水永が競り合ったこぼれ球を拾ってからの二次攻撃が狙うのが攻撃の形。「仰星は水永君を起点に中本(昇、3年)君が絡んでくる。セカンドボールのやり合いになると思っていた」(近大附属・寺師悠斗監督)、「相手もロングボールからFWの力強い裏抜けを狙ってくると分かっていたので、しっかり対策をしていた」(水永)。互いに対策は万全だったため、なかなか均衡は崩れない。

 前半10分には近大附属のチャンス。ロングフィードを上田が競り勝ち、こぼれ球からMF高下麻実(3年)がDFの背後を抜け出しそうになったが、トラップが大きくシュートは打てない。18分には仰星の2本目のCK。MF中山蓮(3年)のキックに中本が頭で合わせたが、枠の右に逸れる。互いに見せ場を作りながらも、1点が奪えず前半を終えた。

 迎えた後半は選手のポジションに修正を加えた仰星に流れが傾き始める。「今年は個で面白い子がいる。前半もそうですが、リレーションシップが上手くハマれば面白さが出る」と中務雅之監督が話す通り、選手同士の連携が今年の売り。ターゲット役の水永に当ててからは相手陣内をコンビネーションで崩す場面が増えていく。

 15分には連携から左を上がったDF加賀美諒(3年)がクロス。ファーの中山が左足シュートを放ったが、右ポストに嫌われた。得点への機運が高まると20分にはロングボールを水永がヘッド。セカンドボールを拾った中本が巧みに相手を引き寄せると、上手くゴール前でフリーとなった小林が冷静に決めて、仰星が試合を動かした。

 直後の21分には近大附属の見せ場。DF若松大輔(3年)が入れた右前方へのフィードに入ったばかりのMF高畑宗希(2年)が反応。右コーナーフラッグ付近から思い切りの良いドリブルで2人をかわしたが、3人目で倒された。PKかと思われたが、エリアはPAのわずかに外。このFKを高畑自らが低く直接狙ったが、GK森本真幸(3年)の足に阻まれた。こぼれ球から狙った若松のシュートもDFのブロックに阻まれ、同点に追い付けない。

 終盤は同点を狙ったが近大附属が押し込んだが、仰星はDF松村瞭(3年)を中心に守りの集中力を切らさない。「リーグ戦では最後の最後で失点していた。選手権のこれまでも最後に失点するのが自分たちの弱さだった。今日は近大附属が相手で勢いもあったけど、最後まで守り切ることを意識した」。そう森本が振り返った通り、狙い通り1点を守り切り、決勝進出を掴んだ。

 今年の仰星はチームの団結力が売りだ。「去年のチームは3年生の能力があった。今年は気持ちが強くて、みんなで集団になれるチーム。個人の能力はないけど、集団で集まった時は強くなれるチームなので、そこで勝って行こうと話している」(森本)。ここまでの3試合中2試合で失点を喫してきたが、準決勝では難敵を相手にチーム一丸となって無失点。攻撃もユニットでの崩しからは今年の特徴を感じる。

 7年ぶりの全国行きに向けたチーム作りは進んでいる。「昨年のインターハイは準々決勝で履正社さんと当たって負けている。借りを返すには絶対勝たないといけない」と意気込むのは水永だ。ファイナルでも仰星らしさを発揮できれば、結果は付いてくる。

(取材・文 森田将義)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
森田将義
Text by 森田将義

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