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[MOM4498]刈谷MF三宅快生(3年)_“二兎”を追う攻撃のキーマン…決勝進出をかけた大一番で1G1A!!

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技ありな一撃で先制点をマークした刈谷高MF三宅快生(3年=右)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 選手権愛知県予選準決勝 刈谷高 2-0 岡崎城西高 CSアセット港サッカー場]

 ファイナル進出をかけた大一番で2得点に絡む活躍を披露。刈谷高の勝利の立役者となったのが、左サイドハーフとしてプレーしたMF三宅快生(3年)だ。実力者揃いだった昨年の代でも出場機会を得ていただけあって、平松智宏監督の評価は高い。「万能な選手。守備ができるし、攻撃のスイッチにもなれる。苦手なプレーがほぼないんじゃないかなという印象を受けますね」。準決勝のプレーぶりを見ると指揮官が発した言葉の意味がよく分かる。多才ぶりを随所で感じさせるプレーで、攻撃を牽引した。

 攻撃のキーマンと言える存在だが、今大会の出来には満足していない。だからこそ、これまでとは違って、接戦が予想されるこの日こそは活躍しなければいけないと思っていた。「選手権はこれまであまり上手くいっていない。今日爆発しないとチームが危ないなと思っていた。今日は自分の得点だけを考えていた。まず一点を取ろうって」。

 序盤は失点を避けるためセーフティーにプレーしつつも、相手の出方を観察し、得点の奪い方を考えていた。「相手がだいぶ前に来るのが分かっていた。CBの裏が空くとみんなで話して狙っていた」。成果が出たのは、前半27分。前線のFW望月陽登(3年)にボールが入った瞬間だ。「相手が中央に密集して外が空いていた」と振り返る三宅はPA左に流れると、フリーでボールを引き出す。そこからは冷静な切り返しで相手を外すと、狙いすましたシュートがゴールの右に突き刺さった。

 9月に行なわれたプリンスリーグの富士市立高戦以来となる公式戦でのゴール。勢いに乗った三宅は後半5分にもセンターサークル付近で相手ボールを奪うと、DFの背後にスルーパスを入れる。素早く反応した望月が前に出たGKをかわすと無人のゴールに流し込み、2点差まで持ち込んだ。望月とのホットラインから生まれた2ゴール。勝利に大きく貢献したが、三宅は満足していない。「今日の出来は75点。後半は自分たちのやりたいサッカーがあまりできずに押し込まれてしまった。そこでもう1回前に出て行くためには、自分がもう少しボールを持つプレーが必要だった」。

 中学時代に所属したドルフィンFCではアンカーを務めてきたが、刈谷高では指揮官に攻撃センスを買われ、より高い位置にコンバートされた。「刈谷に来てだいぶ成長したと思います。周りのレベルが高いのもあって、欲しい時にパスが来る。自分を引き上げてくれるというか、やりたいプレーができている」。本人はそう口にするが、昨年のインターハイは足首を怪我したため、出場機会はごくわずか。選手権は腰椎分離症となり、ピッチに立てなかったという。

 プレーできない期間も無駄にしない。「1個上の先輩が凄く上手かった。言うなら大学サッカーみたいな試合で、選手同士で立ち位置などを要求しあっていた」という先輩たちの試合映像を何度も見て、サッカーIQを高めてきた。また、「自分が今まで見てきた中で一番上手い」と評するMF相澤知哉(現筑波大)のプレーを間近で見てきたのもプラスになったのは間違いない。

 そうした成長が今の活躍に繋がっている。「決勝でも自分が点を取って勝ちます。やれる自信はある。自分で運んでいく、シュートを打つ、ラストパスで良いパスを出す。直接点に関わる仕事がしたい」。意気込み通り目指すのは選手権出場だが、今年はもう1個の目標もある。京都大の合格だ。

 志望校合格を目指し、夏で現役引退した選手も多い中、三宅は「刈谷高校に入った時から冬までやると決めていた。そのために1年生から意識して勉強してきた」という。現在は部活終わりに塾に通う。帰宅するのはいつも23時を過ぎるが、苦にしていない。この冬は二兎を捕まえるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
森田将義
Text by 森田将義

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