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[MOM4499]名古屋DF田中響貴(3年)_守備で奮闘していた主将、土壇場で2点を呼び込み逆転劇の立役者に!!

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名古屋高DF田中響貴(3年、6番)は2得点に絡む活躍で逆転勝利に貢献

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 選手権愛知県予選準決勝 愛知工大名電高 1-2 名古屋高 CSアセット港サッカー場]

 名古屋高が1点ビハインドを追い掛ける展開で意地を見せたのは、主将を務めるDF田中響貴(3年)。安定感のある守りでチームに貢献してきた男が、土壇場で2点を呼び込み、逆転勝利へと導いた。

 本職は守備力と攻め上がりからのミドルシュートを武器にするボランチ。だが、3回戦の愛産大三河戦でDF足立遼馬(3年)が怪我をしたため、準々決勝の大同大大同戦からCBに入っていた。中学時代に所属したF.Cフェルボール愛知時代に経験したポジションとはいえ、これまでとは勝手が違う。「いつものボランチだと後ろがいる感覚だけど、最終ラインだと後ろがいない。ミスだけはしないようセーフティーにプレーしようと意識してきた」。

 愛工大名電のキーマンでのある俊足のFW高木和(3年)に対しても、粘り強く相手の正面に立ち続けて簡単には突破を許さない。また、178cmの身長は、CBとして小柄だが「空中戦でも怯まずに行っている。早めにジャンプして、相手を飛ばさないよう意識している」と上手く跳ね返して行く。後半の立ち上がりに1失点したが、崩れなかったのは田中の存在が大きい。

 この日は後半途中から田中がボランチへとポジションを上げて、3‐4‐3の超攻撃的なシステムに変更したことが、試合の流れを大きく変えた。反撃の狼煙を上げたのは29分。相手のクリアボールを高い位置で中盤の選手がはじき返すと、ボールはPA内にいた田中の足元へ。一度は「振り向いてシュートを打とうとした」ものの敵がいたため、そのまま左に流れてクロスを上げる。「中は見ていないけど、仲間が入ってくるだろうと信じてファーサイドに浮かした」と振り返るボールがファーサイドのポストに当たって、ゴール前にこぼれると走り込んだFW山本凜蔵(2年)が豪快に叩き込み、同点に追い付いた。

 続く32分には左サイドでスローインの機会を得る。「ゴールまでの距離があって直接は無理だと思った。ニアで逸らせてもらおうと思っていた」というDF月岡陸斗(3年)のロングスローが、DFの足に当たって田中の下へ。すかさずヘディングで押し込み、2点目となった。逆転劇の立役者となった田中は「大舞台で決めることができて良かった」と笑みを浮かべた。

 明秀日立高のインターハイ優勝に貢献したDF山本凌(3年)、帝京長岡高のエースナンバーである14番を背負うFW堀颯汰(3年)など中学時代のチームメイトが県外へと進学する中、田中は地元に残ることを選択した。彼らが今夏のインターハイを含め、活躍しているのは刺激になっている。「サッカーだけでなく勉強も頑張りたい自分にとって、合っていのは名古屋高校だった。中学時代のチームメイトは、みんな凄くて尊敬しているけど、自分はこのチームを全国に連れていくつもりでやっている」。

 3年生になってキャプテンを任されてからは自覚も増している。新人戦とインターハイは個性が強い選手たちをまとめきれず敗れたため、責任を感じていたが、今は田中を中心に一体感のあるチームになってきた。だからこそ、あと一つ勝って全国に行くんだという想いは強い。「一昨年の決勝で、中部大一に負けた時もベンチに入れてもらっていた。負けた瞬間の雰囲気は今でも覚えていて、二度と味わいたくない。今年は自分にとって最終年でもあるので、しっかりチームをまとめて絶対に勝ち抜きます」。

(取材・文 森田将義)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
森田将義
Text by 森田将義

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