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9年ぶり山口決勝の聖光は後半に自分たちのサッカーを披露。「来年は全国大会に」

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聖光高は選手権予選決勝の経験を来年に繋げる

[11.19 選手権山口県予選決勝 高川学園 2-0 聖光高 みらスタ]

「個性豊かで、みんな元気で、みたいな感じでそれぞれの長所が最後伸びたと思います」。CB渡根直哉主将(3年)は今年の聖光高について、そう説明する。この日の決勝も後半に自分たちのサッカーを展開し、王者・高川学園高を苦しめた。

 前半を0-2で折り返したものの、後半は前からボールを奪いに行き、背後を突かれて1対1のピンチとなったシーンも186cmGK濱本陽斗(3年)がストップ。際の強さを見せた渡根や守備範囲の広いCB友弘青葉(3年)がボールを奪うと、最終ラインから落ち着いて繋ぎ、グラウンダーのくさびを4本、5本と入れて押し返す。

「足につけて、間に入れて、散らすという自分たちのサッカーをしていこうという話をしていました」と渡根。簡単には攻め切ることができない中、渡根は自らドリブルで左タッチライン際を攻め上がるなどチームを勢いづけようとしていた。

 後半は、聖光がより会場を沸かせていた印象だ。MF西川輝琉(3年)がインターセプトから枠へミドルシュートを打ち込んだほか、相手PAまでボールを運び、MF西田唯斗(3年)のラストパスから10番MF三好巧大(3年)が左足を振り抜く。シュート数は前半の1本から後半は6本にまで増やした。

 終了間際には渡根がドリブルでPAへ切れ込み、PKかと思われるようなシーンもあった。だが、0-2のまま試合終了。渡根は「キャプテンとしてこのチームともうちょいやりたいと思ったので、もっと自分が変えようかなと思ったんですけれども、流れは作っていたんですけれども決め切ることができなかったですね」と悔しがる。だが、今年は新人戦で3位、インターハイ予選でも準優勝し、選手権予選でも9年ぶりに決勝進出。地元・山口出身の選手たちがチームに貴重な経験をもたらした。

「時間帯も悪い時間帯で失点してしまったし、こういう経験をした選手が少ないので、雰囲気に飲まれてしまったところもあるかなというのもあります。後半は思っていたよりも自分たちのサッカーができて、後半はほとんどこっちで支配していたな、みたいな感じがあるんでちょっと自信の持ち方とか場数を踏むとか、後輩にもしっかりと教えて、今日2年生も何人かベンチに入った人もいたので、こういう雰囲気を味わえたのは良かったかなと思っています」(渡根)

 中学校限りでサッカーを辞めることも考えていたという主将は、チームメートたちと最後までやり切って高校サッカーを終了。後輩たちへ向けて「優勝というところ、勝ちにこだわってもらって、来年は全国大会に出場してもらいたい。一歩ずつ段階を踏んでいきたい」。先発して前線で奮闘したFW林要汰(2年)や先輩たちの戦いを見た下級生たちは来年、より自分たちの力を発揮して12年度以来2度目の選手権出場を果たす。

(取材・文 吉田太郎)

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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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