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目標、注目選手は?選手権出場6校の指揮官が近畿地区代表校共同記者発表会に出席

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前列左から京都橘高・米澤一成監督、近江高・前田高孝監督、神戸弘陵高・谷純一監督。後列左から東海大大阪仰星高・中務雅之監督、初芝橋本高・阪中義博監督、奈良育英高・梶村卓監督

 12月1日、第102回全国高校サッカー選手権大会の近畿地区代表校共同記者発表会が、大阪府の読売テレビで開催され、各校の監督が意気込みを語った。

 激戦区である大阪を勝ち上がった東海大大阪仰星高は6年ぶり7回目の選手権出場。中務雅之監督は「プリンスリーグ関西で非常に厳しい戦いをする中で個人、チームの現状を把握でき、選手の成長に結びついた。状況に応じてフレキシブルに対応できるようになってきた」と選手の成長に目を細める。全国でのキーマンとして挙げるのは主将のFW水永直太朗(3年)。「決勝でハットトリックしてくれたのは、日頃の理解力があるから」と全国大会でも予選同様の得点力に期待を寄せる。

 3年ふり10回目の出場となるのが京都橘高。米澤一成監督が今年の強みとして挙げるのは走力だ。今年は走れる選手が揃っており、走行距離、スプリント回数は例年よりも多い。加えて、全国大会から遠ざかっていたことも選手の力になったという。「この2年はタイトルを取れずに苦しんでいた。選手にとっては初めての選手権で憧れ、想いが試合に出た」(米澤)。

 久しぶりの全国大会では飛躍が期待されるが、「シードだけど隣に富山第一が来ているので、シード感がない。まずは勝つことに目標を据えている」と初戦に照準を合わせる。鍵を握るのは、主将を務めるFW西川桂太(3年)。「攻守においてスイッチを入れるのが特徴。チームを鼓舞できるようになり、かなり成長してくれた」。

 近江高は2年連続3回目の選手権出場。前田高孝監督はこう意気込む。「今年はプリンスリーグの1部、2部に参加させて頂き、関西のみなさんに鍛えられた。失点しても前を向いて逆転や同点に持っていく試合があった。諦めないチームになった結果インターハイ、選手権に出られたと思う。滋賀県代表ですが、関西の皆さんに鍛えられたので関西の代表として一戦一戦戦っていきたい」。

 戦いの行方を左右するのは、最終ラインの選手ながらも10番を背負うDF金山耀太(3年)。「ドリブルが得意で縦への推進力がある選手」と指揮官が評するように最終ラインとは思えぬ攻撃力で大会を盛り上げてくれるだろう。

 奈良育英高は3年連続16回目の出場。OBである梶村卓監督は「全員が全力でハードワークするところが今年は売り。とにかく粘り強くトレーニングを積み重ねたことで僅差の試合を何とか競り勝ってきた」と口にする。予選は県1部リーグ勢との戦いが続いたが、粘り強く全国大会出場を辿り寄せた。「予選は相当厳しかった。何とか選手が粘り強く戦ってきた。選手権は今回で3年連続。1年目は勝てたけど、それ以降は全国大会で得点も勝利もできていない。何とか1点、1勝を目標に戦っていきたい」と意気込む。鍵を握るのは県予選でMVPとなったMF磯貝新之助(3年)。「タメを作って時間を作ってくれる。1年生から選手権に出ているので、経験もある。期待しています」と指揮官は口にする。

 今大会のダークホースとして名前が挙がるのは、3年ぶり12回目の出場となる神戸弘陵高。谷純一監督はこう口にする。「選手権予選前に県を優勝して、全国も優勝しようと伝えて挑んだ。(予選は)昨年から出ていた選手が中心となって、悪い流れでも落ち着いてゲームを運んでくれた。今年は新人戦、総体、選手権の3冠を達成したので、しっかり子どもたちに自信を持たせて、(初戦の)仙台育英に勝ちたい」。

 今年は阪神タイガース、ヴィッセル神戸と兵庫県のスポーツチームが優勝していることも弾みになっている。「生徒たちも“アレのアレ”ということをよく言っているので、全力でサポートしたい」。キーマンとして名前が挙がるのはプリンスリーグ関西2部で得点王となったFW馬場悠平(3年)。「2年生の頃は背後への抜け出し専門だったが、3年生になってフィジカルが付いてボールを収められるようになった。左足、頭とパターンが豊富になっているので全国でも決めて欲しい」。

 初芝橋本高は3年ぶり17回目の出場。阪中義博監督が今年のチームの売りとして話すのは、チームの馬力。強い代の特徴である攻守ともにパワフルな戦いが年間を通じてできているという。今年は新人戦、インターハイ、リーグ戦でも県を制し県内では頭一つ抜けた存在となっている。「無敗で選手権予選に挑んだが、簡単に勝たせて貰えないと予想していた。選手も和歌山で勝っているから、選手権も獲りたい、是が非でも勝ちたいという気持ちがプレッシャーになった。大きなプレッシャーの中で勝ち上がれたのは大きな財産になった」。

「初戦を勝ち上がって、できるだけに上に行きたい」と話す指揮官が、キープレイヤーと挙げるのはDF石丸晴大(3年)。「1年生からAチームで活躍してくれた。昨年もレギュラーで試合に出ていた。今年度はキャプテンとして後ろで支えてくれている。大黒柱である彼らがいれば監督がいらないんじゃないのと思えるぐらい。技術も高くて抜群のサッカーセンスも持っている」。そう指揮官が評するリーダーの出来が全国大会の結果を左右する。

 今年の近畿勢は可能性を秘めたチームばかり。2010年に滝川二高が日本一を掴んで以来と果たせていない関西勢の優勝が実現するか注目が集まる。

(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

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