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MF安齋悠人「絶対、優勝します」。選手権で尚志に初の日本一をもたらし、京都へ

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尚志高の京都内定MF安齋悠人が選手権日本一を誓った

 選手権のヒーロー候補が、日本一を誓った。尚志高(福島)のU-19日本代表MF安齋悠人(3年)が12日、京都サンガF.C.入団内定会見に出席。自分を育ててくれた尚志への恩返しとして、最後の選手権で全国制覇を果たすことを目標に掲げた。

 京都内定の高速アタッカーは尚志で飛躍を遂げた。仲村浩二監督は1年時から安齋に注目。安齋は同年12月に開催されたU-16全国大会で抜群の突破力を披露するなど、その評価を高めていた。だが、仲村監督は昨年、「(3年生)競わせて、慢心させないようにして、悔しい思いをして、僕の練習をやって調子が良ければ使ってやるよって。だから、(安齋は)練習をすごく一生懸命やっていた」。注目MFに対して安易に先発の座を与えず、競争の中で進化することを求めてきた。

 公式戦に出場すれば活躍していた安齋だが、本当にレギュラーとなったのは2年時12月のプレミアリーグプレーオフ、選手権からだ。安齋は「ずっとこう切磋琢磨させるような選手をそばに置いてくれたりとか、簡単にスタメンで使わないからこそ、やっぱ自分に何が足りないのかっていうのを、常に見つめ続けてくることができた」と感謝する。今秋には欧州クラブへの練習参加も経験。よりレベルアップする必要性を学んで帰ってきた。

 尚志では課題だったメンタル面の改善を実感。2年時の選手権で自分のプレーができず、その際に自分に視線を向けることができなかった。チームも2回戦で敗退。悔しい経験をきっかけに自分を変えることができた。

 尚志では先を見据えたトレーニングによって、右サイドでも、左サイドでも特長の突破力を発揮できるようになった。左右のアウトサイドのタッチを器用に活用し、そのスピード、推進力によってDFを振り切っていく。そしてゴール、アシストを含めて恩師を驚かせるようなプレーを連発。仲村監督は、現在の安齋について「『あ、すげえ』って思わせるっていうプレーが出せる。想像を超えるプレーをしてくれる。そういう選手はプロにいるべき」と評価する。

 高校年代で「すげぇ」と思わせるようなプレーを続けている安齋は、選手権で自分を育ててくれた尚志に恩返しする意気込みだ。尚志は未だ、全国タイトルが無い。選手権は震災直後の11年度大会と2年生FW染野唯月(現東京V)が大活躍した18年度大会の3位が最高成績だ。今年はU-19日本代表MF神田拓人(3年)やU-18日本代表候補FW網代陽勇(3年)ら攻守に隙の無い陣容。“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEASTで最終節まで青森山田高と優勝を争い、過去2度の最下位から大きく躍進して2位に食い込んでいる。
 
 安齋は進路が決まったことにホッとしているというが、選手権へ向けて集中力を高めている。「ほんとに監督の気持ちにも応えたいですし、今までお世話になった人にためにも頑張りたいです。ほんとにずっと1年生から全国制覇するっていうことを練習前から声かけしていたので、それが口だけにならないように、しっかり僕たちの代で歴史を塗り替えたいなって思ってます」と力を込めた。

 今回の選手権は京都のサポーターも注目する中でのプレーとなる。「自分のドリブル突破がやっぱり京都のその1つの武器になってくれればいいと思ってるので。ほんとにドリブル突破っていうところをまず見て欲しい」。23年度選手権の主役候補の一人だが、「(主役に)なりたいとは思ってなくて……」とコメント。そして、「まずチームの勝利に貢献できて、なおかつその結果がついてくればいいかなっていうふうに思っています」と選手権への心構えについて口にした。

 優勝候補の一角として全国大会に臨むが、選手権が簡単な戦いになるとは全く考えていない。「みんな、プレミアの結果が選手権にそのまま影響するかとは思ってないんで。(初戦で対戦する岡山)学芸館も去年の王者ですし、自分たちが本当に全部チャレンジャーな気持ちでやっている」。その上で日本一は絶対の目標。京都へ加入する前に「絶対、優勝します」という目標を達成し、国立競技場で仲村監督を胴上げする。

(取材・文 吉田太郎)

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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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