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[MOM4572]佐賀東DF江頭瀬南(2年)_2年前日本一になった西が丘で決勝PK「ここで負けたくなかった」

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後半アディショナルタイム、PKを蹴る佐賀東DF江頭瀬南(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.29 選手権1回戦 丸岡 0-1 佐賀東 味フィ西]

 笛が鳴った瞬間、自分で蹴ると決めていた。佐賀東高(佐賀)は0-0で迎えた後半アディショナルタイム、GK中里好佑(2年)からのパントキックを途中出場のFW石川僚祐(1年)が体を張っておさめ、右サイドに展開。MF宮川昇太主将(3年)のクロスがファーサイドに流れたところに走り込んできたDF江頭瀬南(2年)がPA内で倒され、PKを獲得した。

 事前にPKのキッカーは指名していなかったという蒲原晶昭監督が「ベンチでもだれが蹴るかなと思って見ていた。今日は選手に任せていた」と振り返ったように、ピッチ上でキッカーに名乗りを上げたのはPKを獲得した江頭自身だった。

「PKには自信があったので、自分が蹴ろうと。(PK練習は)練習の最後にいつもやっていて、キーパーとずっと練習していた。(PKを)もらったら自分が蹴ろうと思っていた」

 表示されたアディショナルタイム4分はすでに経過していた。決めれば勝ちという状況で冷静だった。「ずっとキーパーを見て、キーパーが左に動いたのが分かって逆に流し込んだ」。ゆっくりとした助走からGKのタイミングを外し、逆を突いた。セットプレーのキッカーも任される自慢の左足で蹴ったボールはコロコロとゴール右に吸い込まれ、劇的な決勝点となった。

 先発の4バック全員が2年生という佐賀東で左サイドバックを務める江頭はスピードに乗った攻撃参加に加え、後半アディショナルタイムという試合の最終盤でもゴール前に飛び込んでいくスタミナと運動量も兼ね備える。「そこは自分の持ち味。PK戦になったら運にも左右される。そこは避けたいと思ったし、ちゃんと(80分間の)試合で決めたかった」と、怒涛のオーバーラップでPK奪取につなげた。

 初戦の会場となった味の素フィールド西が丘は思い出の場所でもあった。2年前の高円宮杯JFA第33回全日本U-15サッカー選手権。FC LAVIDAとの決勝に4-1で勝利し、大会連覇を果たしたサガン鳥栖U-15の左ウイングバックを務めていたのが江頭だった。当時右ウイングバックだったDF田中佑磨(2年)はこの日、佐賀東の右サイドバックとしてフル出場。鳥栖U-15の両翼がそのまま佐賀東の両サイドバックを務めていた。

 蒲原監督が「両サイドバックがここで中学年代の日本一を取っていて縁起が良いとプラスに考えているようだった」と驚くほど、初戦の重圧を感じさせなかった。江頭は「(西が丘で)負ける印象はそんなになかった。いいイメージがあるし、ここで負けたくなかった」と胸を張る。31日の2回戦・帝京大可児戦も舞台は同じ味フィ西。この勢いのまま2年ぶりの3回戦、そして初のベスト8へと駆け上がっていくつもりだ。

(取材・文 西山紘平)

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西山紘平
Text by 西山紘平

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