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世界で輝いた新星の冬は不発&PK失敗で終幕…日章学園2年生FW高岡伶颯が涙のリベンジ宣言「誰よりも努力して戻ってくる」

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涙を浮かべる日章学園高FW高岡伶颯(2年)

[12.29 選手権1回戦 名古屋高 1-1(PK4-2) 日章学園高 オリプリ]

 U-17ワールドカップで4ゴール。世界を驚かせた16歳の冬は早すぎる終幕となった。全国高校選手権初戦でノーゴールに終わり、最後はPK戦を止められた日章学園高のエースFW高岡伶颯(2年=三股町立三股中)は「これまでやってきた自分たちのプレーを出し切れなかった」と唇をかんだ。

 開始早々のファーストシュートを皮切りに、全国初戦のたぎるモチベーションはシュートへの姿勢で表現していた。

 前半17分には左からのクロスに驚異の跳躍力で反応し、強烈なジャンピングヘッドで相手ゴールを強襲。ところがこれが名古屋GK小林航大(3年)のスーパーセーブに阻まれると、その後は相手の堅守を前に沈黙した。「行けるなと思っていたけど、どこかでチームとの歯車が合わなかった」。最後は良い形でボールを受けることもできない時間が続いた。

 1-1のまま迎えたPK戦では2人目のキッカーを担ったが、GKの逆を突いたはずのシュートが甘く入り、身体を残したGKのスーパーセーブに阻まれた。「自分の日頃の行い、今までの日常で何か足りなかった部分があるのかなと思う」。勝負を分けたキックだけでなく、日常の振る舞いに課題を見い出した。

 試合後には3年生に支えられながら、涙ながらに応援団の前に立った。

「藤本主将をはじめとして自分がやれることはしたし、学年にかかわらずやることはやれたと思うけど、これが最後の試合になってしまった。こういう場面で自分から声もかけられず、逆にチームから後押しされていた。いま思えば僕一人じゃなかったなと思えた。他の人の支えがあって、自分が中心に立てたのかなと思っている。そこは来年もはき違えないようにやっていきたい」

 先輩からの支えに感謝しつつ、心にはリベンジへの気持ちをたぎらせていた。

「1年生から親しくしてくれた先輩方だったのでどうしても勝たせたかった。世界を経験している僕からしたら、チームにいなかったぶん、こういうところでチームを助けたいと思っていたけど、それでも決め切れなかった。自分の課題がまだまだ多く見つかったのかなと思う」

「この1年、自分もチームの中心としてやっていこうとこの1年を過ごしてきたけど、まだまだ自分の弱さがあった。どれだけこうやってチームの中心になっても、結局何もできなかったのは自分が弱いから。ちゃんとチームを勝たせられるような中心になりたい」

 そこで意識するのは、自らが身をもって体感した世界基準だ。

「相手が固い中でも、世界に行けば固い守備は当然。その中でも打開していくのがトッププレーヤー。誰よりも努力して戻ってきて、触れられないくらいの、『やっぱ高岡』と思えるくらいの選手になりたい」

 U-17日本代表の新星として台頭し、U-17W杯で世界を驚かせた16歳。大きな飛躍を遂げた2023年度のラストゲームで味わった悔しさは、さらなる成長への通過点となる。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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