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伝統校対決はPK戦の末、星稜に軍配! 四日市中央工との激闘制して河合監督体制初勝利

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PK戦の勝利にわく星稜高(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[12.31 選手権2回戦 星稜高 1-1(PK3-0) 四日市中央工高 オリプリ]

 2014年度に優勝した星稜高(石川)、1991年度に優勝した四日市中央工高(三重)。日本一を経験し、ともに出場回数が30回を伝統校対決となったのが、ゼットエーオリプリスタジアムでの第2試合だった。

 最初の40分はスコアレスに終わり、試合が動いたのは後半10分だった。四日市中央工はゴールキックからヘディングを2つつないで左サイドのMF西脇葉(3年)まで展開すると、ドリブルで深い位置まで切り込んで中に折り返す。これをファーサイドのMF山口叶夢(3年)が右足でシュートまで至ると、最後は星稜の選手に当たって、オウンゴールが記録された。

 ビハインドを負い、「前線がノッキングしているところもあった」と見ていた星稜の河合伸幸監督は、中央のFW竹山開(3年)に代えて、「思い切って」FW南慶士郎(2年)を投入。その7分後に2年生ストライカーが結果を出す。中盤で横パスをカットしたMF西川太陽(2年)がすぐさまスルーパスを送る。オフサイドラインギリギリで抜け出た南がドリブルで持ち上がると、右足でGKとの1対1を制した。「左利きの選手ですけど右足で決めた」という南に対して、「結果を出してくれたのでうれしかったです」と指揮官は目を細めた。

 後半の1本のシュートを決めきった星稜に対して、四日市中央工は最前線のFW小林桜輔(3年)、エースナンバーの「17」を背負うMF平野颯汰(3年)がゴールを狙っていったが、スコアを動かすことはできない。

 試合終了間際、星稜はPK戦対策として、GK佐藤竣基(3年)をピッチに送り込む。PK戦では、1番手は互いに主将が務める。先攻の星稜はDF倉畑鉄将(3年)が成功させると、四日市中央工のMF片岡空良(3年)のシュートはGK佐藤がストップ。2人目、3人目と成功させていく星稜に対して、四日市中央工2人目のDF山本拓弥(3年)は枠をとらえらず、3人目の小林はGK佐藤に止められてしまい、3-0で星稜が3回戦へと駒を進めた。

「こだわりはあると思います」と自負するPK戦を制した河合監督。長きにわたって指揮をとった河崎護前監督の後任として、2019年に監督へ就任して以降、2020年から4年連続での選手権出場となっているが、過去3年はいずれも初戦敗退となっており、これが指揮官にとって選手権初勝利だった。試合後には涙を流す様子も見られた河合監督は、「ホッとしました」と吐露した。

 選手としても、「自分たちで1勝をプレゼントしたいという思いがあった」と倉畑。「全国優勝の過程として、必要な勝利」を経て、市立船橋高との3回戦へ。再び伝統校と相まみえる。

(取材・文 奥山典幸)

●第102回全国高校サッカー選手権特集

奥山典幸
Text by 奥山典幸

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