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青森山田に「得意なプレーも出せなかった」清水内定・市立船橋FW郡司璃来、5戦5発の選手権は「楽しかった」

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得点ランクトップに立つ市立船橋高のFW郡司璃来(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.6 選手権準決勝 市立船橋高 1-1(PK2-4) 青森山田高 国立]

「自分の力不足でチームを勝たせられなかった」。ベスト4で敗れた市立船橋高(千葉)のエース、FW郡司璃来(3年)は無得点に終わり責任を背負い込んだ。

 守備に自信を持つ青森山田高(青森)を前にシュートチャンスがめぐってこない郡司は、前半30分に相手のクリアボールをひろってミドルシュートを狙うも、枠をとらえることはできない。後半8分には、「郡司と自分の中では共有認識があるので。どこの場所からでも郡司と自分はゴールを狙う関係はできている」という“ホットライン”を構築しているMF太田隼剛(3年)から縦パスが入ると、反転して再びミドルシュートを狙ったが、これもゴールマウスからは外れてしまった。記録としては、この2本が郡司の準決勝でのすべてのシュートとなった。

「今日は自分があんまりボール持つところもなかったですし、自分の得意なプレーも出せなかった」と悔やむ郡司は、「得意なドリブルがあるので、もっとドリブルを仕掛けなきゃいけない」と続けた。

 1-1のまま突入したPK戦については、2回戦と同じく5番目のキッカーを予定していたというが、市立船橋は4人目のキッカーまでで勝敗は決してしまった。「悔しい」と出番がないまま終わったPK戦での敗戦を受け止めた。

 市立船橋にとって12年ぶりとなる4強入りは、このストライカーの活躍抜きに語ることはできない。和泉竜司(名古屋)、鈴木唯人(ブレンビー)らが背負ってきた10番を担い、今大会得点ランクトップの5得点をマーク。相手チームが最も警戒を強める中でも、J内定FWはゴールを重ねてきた。郡司の選手権デビュー戦となった1回戦の高川学園戦で華々しくハットトリックを飾ると、2回戦の帝京長岡戦では失敗したら敗退が決まるPK戦で見事成功。3回戦では後半からの出場でダメ押し弾を決め、準々決勝の名古屋戦では相手にマンマークを採用されながらも決勝点を挙げた。「ここまで連れてきてくれたのはあいつの力」と主将の太田は、その功績をたたえる。

「楽しかったですね」。志半ばで終わったとはいえ、高校サッカー最後の晴れ舞台に、笑みをこぼした郡司。「1年の頃に比べたらすごい成長しています。カンタンにはイライラしなくなったので」と自身のメンタル面での成長を感じた高校サッカーだった。とりわけプロ入りが決まってからは「プロでこんなメンタルでは絶対やっていけないので、しっかりメンタルから変えていかなきゃいけない」と自らを戒めたという。

 次のステージは、Jリーガー。昨日5日には、清水エスパルスから背番号が27となることが発表された。

(取材・文 奥山典幸)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
奥山典幸
Text by 奥山典幸

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