beacon

[大学選手権]関西大MF田中、U-17W杯の仲間、ライバルの存在を力に磐田で成長を

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.19 全日本大学選手権1回戦 専修大3-1関西大 BMWス]

 ジュビロ磐田加入内定の関西大MF田中裕人(4年=G大阪ユース)は試合終了を告げる笛が鳴り響くと、ピッチに座り込み、両手で顔を覆っていた。「悔しいの一言というか、ホンマ不甲斐ないし、情けないというか。4年間の集大成を見せると言って、この結果やし、この内容というのは4回生としてホンマ悔しいし恥ずかしいという思いしかないです」。大学生活最後となる今大会に懸けていた。だが、夏の総理大臣杯全日本大学トーナメント2回戦で敗れた専修大に再び屈し、大学サッカーから引退することとなった。

「内容よりも結果。トーナメントやし、最後のこの時に『負けても内容がいいから』とか甘いこと言っていられないと思っていた。去年インカレにも出ていないし、結果が大事やと思った。(先制された後は)何とか1点と思っていたし、ミスがあっても、ゴールを守って、ゴールを決めるという結果にこだわったサッカーをしたかった」。ディフェンス面に自信を持つ田中は局面での鋭い出足と身体の強さで対抗。チームは決定機こそつくられていたが、最後の部分で譲らずにゴールを守り続けた。それでも「パスの質とか一つひとつのプレーは向こうの方が上だった」という専修大に延長戦で突き放されてしまった。

 田中は07年U-17W杯韓国大会にU-17日本代表の一員としてFW柿谷曜一朗(現C大阪)らとともに出場。当時のチームメートは大半がJリーグへ進み、DF鈴木大輔(現新潟)とFW齋藤学(現横浜FM)は今夏のロンドン五輪に出場している。対して田中は高校卒業時にトップチームへ昇格することができなかったが、大学サッカーで揉まれながら成長してきた自負がある。「あのメンバーの人たちはみんな先にプロになっている。でも自分は4年間、大学でサッカーと勉強を両立してきた。差があると思いますけど、ボクらも試合数はこなしてきたし、プロよりもキツイ練習をこなしてきたと思う。学ぶものを学んで終わったので負けていないと思います。臆することなく、挑みます」と挑戦状を叩きつけた。

 そのプロで最大のライバルとなるのがG大阪ユース時代から7年間同じチームでプレーしてきたMF岡崎建哉だ。岡崎は「(田中)裕人に助けられた4年間。本当にそうだったから、また違うチームでも切磋琢磨して、お互いに本当に刺激しあえる関係だと思っている。違う環境でも、お互いやっていきたい。(1年でJ1に上がって対戦することが)一番理想ですし、相手にしては嫌なんですけど、裕人に追いつけ、追い越せで成長して、また裕人と戦いたい」とコメント。対して田中は「(岡崎)建哉は7年一緒にやってきたし、建哉のことはオレが一番良く分かっていると思うし、建哉もオレのことは一番良く分かっていると思う。建哉はライバル。常に建哉の存在を気にしながら、オレもプロで頑張るしかないと思います。こんなライバルは2度と現れないと思うので常に気にしながら、負けないようにしていきたい」と誓っていた。

 プロでは初めて関西、大阪を離れてサッカーをする。「ジュビロのサポーターの人とかは多分ボクのことなんか知らないですし、そういう知らん環境でどれだけできるか試したい。自分はこれまで大阪を一個も出たことがなくて、大阪の中で育ってきた。知らん人の中でどれだけ成長できるか。自分の特長は守備。『ジュビロで自分の特長を忘れるな』と(関西大の島岡)監督には言われている。意識してやっていきたいです」。かつてのチームメート、ライバル、そして新たな環境。全てを力に変えて成長し、磐田にとって欠かすことのできない存在となる。

[写真]試合終了の笛とともにピッチに座り込んだ関西大・田中。この悔しさも来季の力に

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
第61回全日本大学選手権特集

TOP