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[MOM665]明治大FW狩土名禅(3年)_「亮さんが戻って来るまで『繋ぐ』」

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FW狩土名禅が2ゴールを決めた

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]
[12.14 インカレ2回戦 中京大0-3 明治大 味フィ西]

 大事なインカレ初戦を前に明治大に激震が走ったのは試合前日の練習においてだった。エースであり、主将でもあるFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)がトレーニング中に負傷してしまったのだ。「空気が止まったような感じ」(栗田大輔監督)になってしまったのも無理はなかった。

 その後、診断の結果が出て、決勝には間に合うということが判明。部員の気持ちは一つになった。大事な初戦の先発に指名されたFW狩土名禅(3年=桐生一高)が考えていたのも、「自分の仕事は亮さんが戻って来るまで『繋ぐ』ことだと思っていたし、その責任を感じていた」という心意気で試合に入った。

 狩土名も負傷で出たくても出られない選手の気持ちは分かっている。何しろ今季は負傷に泣かされてリーグ戦わずか4試合の出場にとどまっているからだ。当初2か月半の離脱と言われていたが、復帰直後に再び負傷するという悪循環に陥り、「結局、7か月もできなかった」という結果に。10月にピッチへ戻り、大事なゴールも一つ決めているとはいえ、「今年は何もできていない」という感覚だったのは無理もない。

 負傷離脱していた期間は「感情が凄い下まで落ちた」時期もあったというが、「お父さんが本気で話してくれて助けられた」と振り返る。父・マリオさんから言われたのは「ずっと活躍し続ける選手よりも、負傷から復帰して活躍する選手のほうが観ている人の心に来るんだ」ということ。その言葉を信じ、復帰に向けてのトレーニングに打ち込み直してきた。

 結果として「自分でもビックリするくらい成長できた」と振り返る。フィジカル面の改善に取り組んだ成果も出たが、それ以上に「ゴールを取りたくて、それだけだった」というメンタル面にも変化が出た。いまは「ゴールだけでなくチームのために全部できてこそFWだと思う」と考える。そして「この1年間ずっと戦ってきた4年生のために」という気持ちにも自然となったと言う。

 先発起用された中京大との初戦では二つのゴールをマークして快勝に貢献したが、「こんなので浮かれちゃダメ」と戒めるのも忘れない。あくまで考えているのは「亮さんに『繋ぐ』こと」。明治大FW狩土名禅は「ずっと結果を残してきたああいう人が報われないのは悔しい」から、全国決勝の舞台を尊敬する先輩に用意することのみを考えている。

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(取材・文 川端暁彦)

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