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福岡大MF重見柾斗「サッカー人生で一番濃い一年」「自分はまだ日の丸を背負う器じゃなかった」

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[12.13 インカレ3回戦 福岡大1-2京都産業大 流通経済大学龍ケ崎フィールド]

 試合を通して終始攻め続けた福岡大(九州1)だったが、一歩及ばなかった。前半に2失点を喫するも、後半開始早々にPKを獲得。ただDF橋本悠(3年=鳥栖U-18)が蹴ったPKはGKのセーブに遭い、その後も10人の相手に攻め続けたが、後半アディショナルタイムにFW北條真汰(4年=鹿児島城西高)のゴールで1点を返すにとどまった。
 
「このサッカー人生で一番濃い一年だったし、人生何が起こるか分からないと思いました。いろんな経験をさせてもらった中で、こういう大会でプレーや結果で恩返しがしたかったけど、力不足を痛感しました」。MF重見柾斗(4年=大分高/福岡内定)も無念さを滲ませた。

 春までは今年中にJリーグでデビューし、日の丸を背負うことになるとは思いもしなかった。大きな飛躍を遂げるきっかけを掴んだのは、今春のデンソーカップチャレンジだった。もともとアビスパ福岡やロアッソ熊本のキャンプに参加するなど、注目株だった重見だが、そこで「全国のトップの選手とやれる自信」を掴んだと振り返る。

「正直、プレーオフで負けてからモチベーションが上がらなかったけど、(コーチングスタッフで帯同していた)中村憲剛さんの話とかを聞かせてもらって、選ばれたからにはチャンスは生かさないといけないと思いました。そこで活躍できたことで変わったと思います」

 3月に福岡への入団内定を発表すると、4月5日のルヴァンカップ鹿島戦でデビュー。5月3日のJ1第11節FC東京戦からは5試合連続でスタメン出場も経験した。「大学と違って強度や精度が違ったので、慣れるまで時間がかかったけど、試合を重ねるごとに、少しはやれるという部分で自信を持って戦えたと思います」。充実の日々を過ごした。

 そして今秋には大学生も多く選出されたアジア大会を戦ったU-22日本代表に選出。背番号8を託され、決勝の韓国戦にもスタメン出場した。ただパフォーマンスが思うように発揮できず、「自分はまだ日の丸を背負う器じゃなかったと思い知らされた」と悔しい結果に終わったのも事実。「この借りは代表でしか返せないと思っている。来年からアビスパ福岡で活躍して、また選ばれるように頑張りたい」と意欲的に話す。

「福大に来て自分の弱さを伸ばそうと思って来た。高校の時の自分じゃ出来なかった。学ばせて成長させてもらったのでよかったと思います」

 大学での活動が終了したことで、正式にプロサッカー選手・重見柾斗としての活動が始まることになる。すべては実力の世界。目標と話す「開幕スタメン」や「パリ五輪出場」は自分の力で掴んでいかないといけない。「まだまだ今のレベルじゃ通用しない。すべてのレベルでハイレベルな選手になりたい」。黒いヘアバンドを巻いてプレーする姿が印象的なダイナモが、来春早々からJの舞台でインパクトを残す。

(取材・文 児玉幸洋)
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ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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