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Jの舞台で“静学Vメンバー”との再戦「楽しみ」、東海学園大MF井堀二昭は来シーズンからJ2昇格・鹿児島へ

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東海学園大MF井堀二昭(4年=静岡学園高)

[12.7 インカレ1回戦 東洋大 3-0 東海学園大 流通経済大学龍ケ崎フィールド]

 東海学園大はインカレ初戦で敗退。その悔しさはプロの舞台で晴らしていく。主将MF井堀二昭(4年=静岡学園高)は来シーズンからJ2に昇格した鹿児島ユナイテッドFCへ。「悔しい気持ちはある。Jの舞台でどう切り替えていくかが大事」と新たなステージに目を向けていた。

 東海学生リーグ1部の最終節までもつれ込んだ激戦を乗り越え、3位で2大会ぶりのインカレ出場を決めた東園大。井堀は主将としてチームをけん引し、さらにリーグ戦得点ランク4位タイの9得点、またアシスト7本でアシスト王に輝く数字も残す。有終の美を飾るべく、インカレ初戦で関東大学リーグの強敵・東洋大と相まみえた。

 東園大、東洋大ともにボールをつなぐスタイル。拮抗した展開が予想されたが、東園大は前半7分に失点を喫する。2ボランチで中盤に立った井堀は「立ち上がりの失点が効いた」。前半残り時間は東洋大にボールを握られたまま過ぎていく。追いかける東園大だが、同42分には攻め気を突かれて追加点を奪われた。

 2点ビハインドを取り戻すべく後半の残り45分間に懸ける。後がない東園大は攻勢を強めた。「失点したおかげというのも変ですけど、取りにいかないといけなくなって、距離感も近くなった。パスがどんどん回ってみんな緊張もほぐれた。いつもの自分たちのサッカーが取り戻せた」(井堀)。後半の早い時間から東園大は決定機を作る。井堀は後半14分に右足シュート。その4分後にはPA中央から右足シュートを放ち、相手ゴールを脅かした。

 だが、井堀のシュートはネットを揺らすことはなかった。残り時間で1点を返せなかった東園大は0-2でインカレ初戦敗退が決定。井堀は「チャンスは2回あった。あそこを決め切るところが自分の課題。決めれば同点だったと思うので、そこは反省」と振り返る。大学サッカー最後の舞台を早々に終えた。

 高校生のとき、大きな逆境を乗り越えた経験がある。静岡学園高3年だった井堀は2019年度高校選手権決勝で優勝を経験。青森山田高に2点ビハインドという劣勢を強いられたが、その後3得点で大逆転優勝。決勝ゴールは井堀のFKによるアシストから生まれていた。

 インカレで再び2点ビハインドとなった。だが、今回はサッカーの難しさを痛感した。井堀は自身の経験を振り返りながら「サッカーにおいて2-0は逆転しやすい」と悔しさをにじませる。「(東園大は)静岡学園と似ていてボールを持つチーム。ボールをもう少し持てればチャンスも増えたし、ゴールに行く回数も増えたと思う。2-0のときに1点を決めておけば、同点から逆転もできたかなと」。今回は逆境を跳ね返すことができなかった。

 大学では2年生から主力として全国の舞台に立った。「そのときは先輩に支えてもらってばかり」。3年生では夏の総理大臣杯出場を叶えたが、冬のインカレは出られず。主将となった4年生では苦戦が続き、インカレ出場争いは最終節までもつれ込んだ。ひさびさのインカレで「勝たせてあげたかった」と思いを吐き出す。「来年以降は後輩たちにがんばってほしい」と勝利を託した。

 来シーズンはプロの舞台へ。内定先の鹿児島は今シーズンJ3リーグで2位に入り、5年ぶりのJ2昇格を達成。井堀はJ2リーグでのプロデビューを目指す。「やっぱり試合に絡んでなんぼ。試合に絡むことを一番に、練習からがんばりたい」と意気込みを語る。

 劇的優勝を果たした静岡学園の同期は、すでにプロで活躍する選手、そして同じく来シーズンから大卒新人としてプロの舞台に立つ選手も多い。来季のJ2リーグにはMF藤井皓也(中京大→熊本内定)とMF浅倉廉(拓殖大→藤枝内定)の2選手がいる。井堀は「皓也は東海リーグでよく戦ったけど、廉とは高校を離れて一回も戦っていない。楽しみにしています」と目を輝かせていた。

(取材・文 石川祐介)

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石川祐介
Text by 石川祐介

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