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[トゥーロン国際]ロンドンへ漂う暗雲…オーバーエイジの活用が焦点に

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[5.27 トゥーロン国際大会 日本2-3エジプト ル・ラバンドー]

 約2か月後に迫ったロンドン五輪へ、暗雲の立ち込める結果となった。トゥーロン国際大会に出場したU-23日本代表は27日、グループリーグ最終戦でエジプトと対戦。勝てば準決勝進出となる一戦は0-2からMF宇佐美貴史の連続ゴールで一度は同点に追いついたが、後半32分にセットプレーから決勝点を許し、2-3で敗れた。1勝2敗の勝ち点3でグループ最下位が決定。グループリーグ突破を目標に掲げた“プレ五輪”は、あっけなく3試合で終戦した。

 課題は明白だ。セットプレーやサイドからのクロスボールで重ねた失点は3試合で「7」を数えた。「前半は左サイドの背後を取られるケースが多かった。あのあたりが一つの課題。失点はほとんどがセットプレーから。そこは修正していかないといけない」。関塚隆監督は力なく語った。

 トルコ戦(0-2)は五輪予選でもCBのレギュラーを務めたDF鈴木大輔、DF濱田水輝が先発し、オランダ戦(3-2)、エジプト戦は鈴木とDF山村和也がCBでコンビを組んだ。今大会は守護神のGK権田修一が不在。CBだけの責任ではないにしても、やはり不安は残る。

 特に世界を相手に戦う五輪本大会では、たとえサイドを突破されても、あるいは簡単に中盤を省略されたとしても、最後のゴール前で跳ね返すパワーが絶対に必要になる。今後、CBでオーバーエイジ活用の議論が高まることは避けられない。

 FW大津祐樹、FW指宿洋史、MF宇佐美貴史、MF高木善朗という欧州組が顔をそろえた攻撃陣には収穫もあった。オランダ戦ではMF齋藤学を加えた2列目の3人が流動的に動き、細かいパス交換にドリブルも織り交ぜながら効果的な攻撃を見せた。

 ただ、速い攻撃から前線の選手が前を向いてプレーできるときはよかったが、遅攻になったときには手詰まり感もあった。ボランチからのビルドアップで精度を欠き、3列目からの飛び出しも少ない。2列目では、今回招集されていないMF清武弘嗣が本大会では主力となる存在で、他にもFW宮市亮やFW永井謙佑らがひしめくタレント豊富なポジション。あとは中盤の底でかじ取り役となる人材がオーバーエイジで必要となるかもしれない。

 五輪のたびに議論されてきたオーバーエイジの必要性。確かにU-23年代で完成されたチームにいきなり“異分子”の3人を加えることにはリスクもある。しかし、トゥーロン国際大会に臨んだチームでさえ、アジア予選を戦ってきたメンバーに海外組が加わり、チームの様相はガラリと変わっていた。ここにあと3人加わっても、もともと遅れているチームづくりにそれほどの影響はないだろう。

 4年前の北京五輪では、招集予定だったMF遠藤保仁の体調不良もあり、最終的にはオーバーエイジを使わずに本大会に臨み、3戦全敗に終わっている。アジア予選のころから“リーダー不在”を指摘されてきた関塚ジャパン。2大会ぶりとなるオーバーエイジ枠をいかに活用するかが、ロンドン五輪を勝ち抜くための焦点となってきそうだ。


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