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「ゴールを求めてやっていた」、前田が1トップの重責果たす追加点

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[6.3 W杯アジア最終予選 日本3-0オマーン 埼玉]

 1トップの重責を果たした。日本代表FW前田遼一(磐田)が1ゴールを含む全3得点に絡む活躍を見せた。前半12分の先制点のシーン。前線から下りてきてフリーになり、DF今野泰幸からの縦パスを呼び込む。ワンタッチでFW香川真司に落とし、リターンを受けると、すかさず左サイドを駆け上がるDF長友佑都に絶妙なスルーパスを通した。長友のクロスにMF本田圭佑が左足ボレーで合わせ、先制点が生まれた。

「みんながいい距離感でできたと思う」。鮮やかな崩しからのゴールを振り返った前田だが、「強いて言えば、自分が中に入って点を取りたい」と言う。ゴールの起点になるのではなく、自らゴールを決める。ストライカーとしての意地を発揮したのが後半6分の追加点だ。

 左サイドから香川がGKとDFラインの間にグラウンダーのクロス。「(香川)真司がいいボールをくれて、オフサイドかなと思ったけど」。裏に抜け出すと、トラップは大きくなったが、ゴール方向に流れたボールに自ら詰め、左足で押し込んだ。「最初、ミスをしたけど、入れられてよかった」。2月24日のアイスランド戦(3-1)以来のゴールは、先発試合に限れば2戦連発となった。

 分析の成果だった。「サイドからのボールには弱いと聞いていたので、狙っていた」。1対1では抜群の反射神経で強さを発揮するGKアル・アリ・ハブシだが、クロスボールへの対応は“弱点”と見られていた。最終ラインの背後にスペースが生まれるのもスカウティングどおり。チームとして、個人として、狙っていた形だった。

「ちょっとは役に立てたかなと思うけど、その前にヘディングを外していたので」。後半2分、本田の右CKに合わせたヘディングシュートはゴール左にそれた。そのシーンを悔いた前田だが、後半9分にも香川からのパスを受け、思い切りよく左足で狙ったシュートがDFに当たってこぼれ、FW岡崎慎司の追加点につながった。シュート3本で1点。全3得点を演出。1トップとして、しっかりと結果を残した。

 FW李忠成が負傷離脱する中、FWハーフナー・マイク、FW森本貴幸をベンチ、あるいはベンチ外に追いやって先発した。ただ一つのポジションをめぐるチーム内の争い。「ゴールを求めて、自分自身やっていた。次もまた取りたい」。日本のエースは自分だ。始まったばかりのアジア最終予選で、そのことを結果で証明し続ける。

(取材・文 西山紘平)

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