beacon

NZ戦前日、静かに燃えるMF東「チームのためにやることが大事」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 ロンドン五輪の壮行試合であるニュージーランド戦を11日に控えるU-23代表。MF東慶悟は、「トゥーロンが終わってから初めてこうやってみんなで集まって、本番モードになってきました。非常に楽しみです」と目を輝かせた。

 10年のアジア大会からロンドン五輪最終予選まで、東は10番を背負い、常に関塚ジャパンの一員としてピッチに立ち続けてきた。それでも、最終メンバーの18人に選ばれたことには少なからず安堵している。所属クラブの大宮では攻撃する時間を思うようにつくれず、守備に忙殺され、なかなか持ち味を出せなかったからだ。

「チーム自体も勝てていなかったのでね。選ばれたことはホッとしています」と、思いを吐露したが、すぐに「これからが始まりだと思うので。チームのためにできればと思います」と言葉を続けた。

 五輪本大会ではスペインという、絶対的な強者とも対戦する。それでも、日本代表の基本的な戦い方は変わらないと東は言う。

「今までやってきたことをやるだけですし、今さらいろいろと変えても仕方がないので、引き続きやっていくだけです」

 戦い方が変わらないのであれば、これまで長い時間をこのチームで過ごしたことは、今後の定位置争いでも大きな武器となるはずだ。ほとんどの選手とプレーした経験があり、特徴も互いに把握している。数少ない例外が、サプライズ選出のFW杉本健勇だろう。それでも東は、関塚ジャパンで10分しか出場機会を得ていない最年少ストライカーとの連係にも不安はないと言う。

「健勇は一人でキープできますし、シュートも決める選手なので、生かしてあげればいいと思うし、僕も生かしてもらえたらと思う。みんな(杉本選手の)特徴を分かっていると思いますし、良い選手なのでチームのために働いてくれると思います」

 周囲を生かすことで、自分も生きる。それが、東の個性だ。だからこそチームメイトの能力をしっかりと把握し、彼らに合わせたプレーをする。明日のニュージーランド戦は五輪本大会に出場するための絶好のアピール機会となるが、特別に気負うことはないという。

「チームの勝利のために全力でやるだけです。オレが、オレが、ではなく。チームのためにやることが大事だと思います。周りを生かしながら、自分も生かすというのが、自分の良い所だと思いますし、それをやっていかないといけないと思います」

 どこか黒子的な印象さえも抱かせる10番は、静かにキックオフの笛を待つ。

(取材・文 河合 拓)

TOP