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ヤングなでしこに期待する吉田監督「世界で通用する選手がたくさん出てほしい」

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[9.8 U-20女子W杯3位決定戦 日本2-1ナイジェリア 国立]

 史上初の銅メダルに輝いたU-20日本女子代表。チームを率いた吉田弘監督は、試合後の会見で今大会における後悔はあるかと聞かれ、「ドイツ戦の2点目を取られていなかったらチャンスがあったかなと思います。1失点目は相手がうまかったけど、2点目はこっちの不用意なミスから失点してしまったので。ただ、そこも後悔はしていませんけどね」と答えた。決勝に進めなかった悔しさは残ったが、力を出し切ったからこそ、悔いはないと話した。

 ヤングなでしこは、準決勝で0-3とドイツに敗れた教訓を生かして3位決定戦を戦った。「前の試合(ドイツ戦)で始まってすぐ簡単に点を取られてしまい、自分たちがちょっと弱気になったり、ちょっと落ち込んだ部分がありました。そういう意味では(今日は)ディフェンシブにやるつもりはありませんでしたが、まずは点を取られないようにしっかり守って、良い形で攻撃しようよと話していました。そういう意味では点を取られないで、こっちが先制して、追加点を取っていくという試合展開になったことは、非常に良かったなと思います」と吉田監督は振り返る。

 初戦のメキシコ戦以来となるCBで起用された高木ひかりが「今日の試合ではチャレンジ&カバーを徹底した」と言うように、チームはフィジカルの強いナイジェリアを相手に、数的優位をつくりながら戦った。一人が体を当てて相手選手のバランスを崩し、もう一人がボールを回収するという守備は、特に前半機能していた。結果、前半45分を終えてナイジェリアのシュートが枠内に飛ぶことはなかった。逆に日本は前半24分に田中陽子がミドルシュートを決めると、後半の立ち上がりにも西川明花が追加点を挙げた。このリードを守り切って銅メダルをつかんだ。

 そんな選手たちの『これから』に、指揮官は大きな期待を寄せている。「準決勝、3位決定戦とフィジカルの強い相手と真剣勝負ができて、本当に本人たちが世界のトップレベルでやる上で必要なことを体感できて良かったと思う」と、経験を積めたことを喜んだ。

 アンダー世代で、最後となる試合を終えた彼女たち。再び世界を相手に戦うとしたら、ほとんどの選手にとって、それは『なでしこジャパン』に選ばれて、ということになる。08年と10年、2度のU-17W杯に続き、W杯でチームを率い、彼女たちの成長を目の当たりにしてきた吉田監督は、それでも「なでしこに入るためには、まだまだ足りない部分がある」と言い、今後の彼女たちに求めることを口にした。

「今大会で、テクニックの部分を伸ばしていく必要性を、あらためて感じたと思います。なんとなくテクニックを磨くのではなく、世界に通じるテクニックがどういうものかを考えて、日々トレーニングをしてほしい。そうすれば彼女たちがヨーロッパでも通用する選手になっていくと思いますし、世界で通用する選手がたくさん出てきてくれればなと思います」

 U-20女子W杯で、史上初の3位に輝き、日本中を沸かせたヤングなでしこ。歴史に残る偉業を成し遂げた彼女たちが、再び青いユニフォームを着て、日本を熱狂させてくれる。そんな日が来ることを、誰よりも期待して信じているのは、この指揮官だろう。

(取材・文 河合拓)
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