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10/27 フットサル日本代表vsウクライナ代表 試合後のミゲル監督会見コメント

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[10.27 親善試合 フットサル日本代表 3-1 フットサル ウクライナ代表 旭川大雪アリーナ]

 フットサル日本代表は27日、ウクライナ代表と親善試合を行い3-1で勝利した。11月1日に開幕するフットサルW杯を前に、世界王者のブラジルと引き分け、欧州8強のウクライナに勝利した日本代表は、良いチーム状態で本大会に臨めそうだ。試合後、日本代表のミゲル・ロドリゴ監督は「前半と後半ではまったく違う試合になりました」と、振り返り、勝利にもまだ課題が残っていると強調した。

以下、ミゲル・ロドリゴ監督、会見コメント

「前半と後半でまったく違う試合になったと思います。前半、エネルギーに溢れて攻撃、守備にわたって優位に進めることができました。プレスを掛けることができましたし、相手のプレスをうまく回避することもできていました。しかし、後半に入り疲労が目立ち、チャンスはいくつかありましたが、ブラジル代表戦と同じように守備に追われるようになりました。それでも結果が出たことには嬉しく思っています。これまでも言ってきましたが、世界のベスト8に入る強豪と対戦するときに、日本の今のフットサル界の現状を考えても、40分間、あのリズムで戦い続けることは難しいと思います。それでもポジティブに捉えられることは、攻撃でうまくいかなくても、守備で対応して耐えて、失点をしなかったということです。その点に関しては満足できる内容だと思います。2試合を通じ、チームのモチベーション、エネルギーを確認させてもらいましたし、ポジティブな感触を持っています。W杯に向かう上で最高の準備ができていると思います。特に準備という部分で具体的なことといえばGK川原(永光)のコンディションが上がってきていることは、素晴らしいと思います。非常に厳しいゲームを繰り返していく中で、GKの活躍は重要になっています。そういう意味で、ポジティブな準備になっていると思います」

―後半、押し込まれた原因はコンディション、相手との力の差?
「両方だと考えています。ウクライナは1-3で日本にリードを許していました。強くプレッシャーをかけ、リスクをかけてきました。逆に私たちの要因を考えると、ブラジル戦のあとで、ガソリンが切れた状態で臨んでいたことがあったと思います。そういうことで、前半は攻撃、守備、プレッシング、プレス回避、100%を求められた中で前半をやりきり、後半は苦しくなりました。ここからはきっちり体を休めて、回復をして、移動が入り、大会まで3、4日ありますが、その間に負荷がかかってきた部分を回復させ、ピークに持って行こうと考えています。そういう意味では良い準備ができたかなと思います。もともとの質問に戻りますと、あれだけトップレベルのウクライナ、彼らの力があって苦しい展開になったと言えると思います。いずれにせよ、この1週間でブラジルと引き分け、ウクライナに勝利するというのは、なかなかなかった大きなニュースが続いたと思いますし、メディアのみなさん、Fリーグが取り組んできたこと、いろいろな側面で関与している指導者のみなさん、すべてのフットサルに関わる人々の仕事の結実を見た1週間だったのではないかと思っています」

―ブラジル戦からカズ選手の良くなった部分は?
「ご覧になっていても感じたと思うのですが、今日はピヴォに入ったり、攻撃的なことを意識することが多かったと思います。ブラジル戦よりも守備でも集中力を感じましたし、それ以外でも、みなさんの目には映ってこない部分だと思いますが、ベンチで休んでいるとき、あるいはロッカールームの中、そこでの彼の働きも相変わらず大きかったと思います。ゴール自体も嬉しく思いますし、生来のアタッカーであることを考えれば、ゴールは自信になりますし、パフォーマンスを上げる勢いになると思うので、うれしいですね」

―2アシストした木暮選手の手応えは?
「木暮選手はチームにとって非常に大事です。自分の視点、考えをプレーしながらピッチの中で反映してくれる。プレーをしながら、監督の役割を果たしてくれます。スペインのスタイル、私の考えを非常によく理解してくれていますし、非常に重要な役割を果たしてくれています。戦術的に考える選手で、自分が点を取ることを考えるよりも、周りの選手を生かすことで機能する選手ですので、このチームの軸になってくれていると思います。私の視点ではクラブでプレーしているときより、日本代表で周囲の選手を生かしているときの方が、はるかにパフォーマンスが高いと思います。ピッチ上の監督というイメージです」

―森岡選手は本来の力を出せていないのでは?
「相当良くなったと思います。攻撃のイニシアチブを取る姿勢が見えましたし、ミスも減りました。チームの対戦したこの2試合では、DFの要求を高く求めています。クラブではあまりないことでしょう。もっとやれるんじゃないかと言われたら、もちろんです。でも、今日の時点でのプレーには満足しています」

―カズ選手がピヴォに入ったのは、監督の指示か?
「もちろん話をしたこともあります。機会あるごとに話していますが、フットサルというスポーツはモダンなスタイルとしては、どこのポジションもやれることが求められるようになっています。その前のプレーの流れで、一番ピヴォに近い位置にいた選手が、次の攻撃になったときにピヴォに入るのは自然なことでそういうことが起きました。そのことを彼も理解して、そういう状況になったので、カズ自身もそれを意識して、ピヴォの位置に入っていきました。それに連動して、他の選手も適応したことだと思います。サッカーとの違いでいえば、サッカーは監督がデザインした布陣のとおりに、ポジションを決めて、やるところがありますが、フットサルはそうはいきません。みんないろいろなローテーションがある中で、次の流れで近い位置から始まることが起こる。つまり、みんながそれぞれの場所をできるようにならないといけないということです」

―カズ選手をセットで起用したが、W杯でも同じ起用をする?
「本番で立ち向かう相手はブラジル、ポルトガルです。今日は全員ピッチに立つ時間がありました。それで先ほども話したように、40分間そのリズムでプレーするのは難しい。ということでは、結論から言うと、みんながかなりの時間プレーすることを求められます。しかも、初戦は北原選手が(出場停止で)不在になります。今日と同じでしょう。ポルトガルとブラジルの試合は、みんなが全力を尽くし、最後まで持たせる。しかし、その中でもちろんチームの骨格となる選手が何人かいたり、出場時間にばらつきはあると思います。それ以外は、その日の調子ということで、差が生まれると思います。この2試合と同じ流れが起きるんじゃないかなと考えています。彼のパフォーマンスが重要になるでしょうし、できればスタッフも2人、3人いれて耐えられたらと思います(笑)。40分間、あのフィジカルレベル、集中力を維持するのは大変なことで、すごく強度の高い試合になることは分かっています。この間のブラジル戦は、40分間なんとか耐え抜いたのを初めて見た試合でした。どうして達成できたかといえば、全員が出場して、それぞれに役割、出場時間は異なりますが、そういうことを組み合わせて機能することがチームの秘訣だと思います。7分しか出ない選手、15分出る選手といろいろかもしれませんが、力を出し合って、お互いのために走るのがチームだと思います」

―開始のセットがブラジル戦と同じ。W杯も同じ形でいくのか?
「ありえます。前にも話したことがあると思いますが、私はゲンを担ぐタイプなので、それを踏襲したいと思います。その部分とは別に、フットサルにおいてコンビネーションは流動的で、コンビネーションが変わることもあります。スタメンに大きな変化はないのではないかと思います。それが流れていったときは、監督としてもコントロールするとか、できるものではないんです。リズムの高いゲームをやると、疲れる選手、疲れ方が変わってきます。ものすごいアドリブ力を働かせて、今はこうしようと組み合わせをどんどん変えなければいけません。疲労度、時間帯、得点差、そういうことを考えて調整します。さっきの話ではないですが、サッカーとは大きな違いかと思います。フットサルのゲームにおいては選手の起用、監督の指示、判断が大きく点差、結果に左右する部分がありますが、サッカーではそこまではないかなと思います。そういう意味ではフットサルの監督は、刻一刻と変わる状況に、その都度判断をしている状況です。スターティングファイブは原則的には今のメンバーで行きたいと思います」

(取材・文 河合拓)

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