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ラトビア戦メンバー発表、ザッケローニ監督会見要旨

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 日本サッカー協会は31日、キリンチャレンジ杯・ラトビア戦(2月6日、神戸)に臨む日本代表メンバー23人を発表した。
以下、ザッケローニ監督の会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「日本に戻ってくることができてうれしく思っている。(日本代表の活動が)再開する日が早く来ないかと待ち遠しかった。2013年の初戦となるラトビア戦だが、Jリーグはまだ始まっていないし、海外組の試合の1日、2日前にしか来れない状況で試合を迎える。

 13年は大切な1年。まずはW杯の出場権を勝ち取ること。その大きな目標をできれば3月26日のヨルダン戦で達成したいと思っている。3月26日の大一番に向けて、2試合のテストマッチができる。その2試合をいかに有効利用し、3月26日に照準を合わせていけるか。コンディションについては、2月の試合ということで理想からは遠いが、一度集まって、これまでのやり方を復習してもらう狙いがある。クラブではクラブの役割があるが、代表では代表の役割があるので、その再確認の場に使ってもらいたい。W杯予選の突破はできるだけ早く決めたいと思っているが、その目標を達成するために勇気とバランスを持ち、戦術理解度、技術ベースの高さもここで確認したい。

 23人のメンバーについては、考え方としては、海外でインシーズンのメンバーを重点的に招集した。国内組については、いつ合宿が始まったか、その時期を見極めて今回の招集に至った。代表チームの常連であるメンバーで漏れている選手もいるが、例えば駒野や(中村)憲剛については、代表から漏れたという認識は持ってほしくない」

―初招集の大津に期待することは?
「今回の試合は海外組を多く呼ぶのに、いい機会だと思った。大津に関しては五輪での素晴らしい活躍もあった。右サイド、左サイド、トップ下、時にはセンターFWでもプレーできる。ユーティリティーな能力がある。日数は少ないが、手元に置いて見たいと思って招集した。以前にも呼びたいと思ったことはあったが、そのときはチームで試合に出ていないという状況があった。今は試合に出ているし、彼が試合で見せる思い切りの良さ、パーソナリティーは魅力だと思っている」

―国内組は8人。若手の海外移籍も増えているが、現状をどう考えているか?
「欧州からこれだけ日本人が注目されているというのは、日本サッカー界が誇りに思うべきことだと思う。これまでこんなことはなかった。こういった現象が起きているのは、J1、J2、育成年代の監督、チームの仕事が大きいと思う。たくさんの若いタレントが海外に流出していることは、短期間で見れば、国内サッカーの魅力が一時的に落ちることもあるかもしれないが、長い目で見れば、若い選手にチャンスが増え、その分活性化される。若手にチャンスが増え、若手が国内で活躍する。そしてまた海外に行くということが、日本サッカー界にとっていいことだと思う。

 セリエAでも似たようなことが起こっている。昔は世界最強のリーグで、世界のタレントがセリエAでやりたいと思っている時期があった。しかし、時代的にそうではなくなり、いい外国人選手が集まらなくなった。その分、例えばミランのエル・シャーラウィも数年前ならチャンスが来なかったかもしれないが、そういう状況で彼に今、チャンスが来ている」

―2月という時期的な問題で国内組が少ないのか?
「そのとおりで、インシーズンの選手を多く呼びたかった。栗原、駒野、憲剛、岩政も当然、代表チームの選手と思ってもらいたい。そういう経緯で招集に至らなかった。試合勘のある選手を重点的に呼びたかった」

―香川はケガ明けで、ビッククラブで苦労しているところもあるが、どう見ているか?
「すべての選手に言えることだが、順応するためにはそれ相応の時間が必要だ。プラティニという選手も、イタリアの環境に慣れるのに7か月要した。それを苦労と呼ぶかどうかは分からないが、香川の直近の試合を見ると、どんどんチームに順応しているように思う。ラトビア戦後にはまた視察に行くし、リーグ戦やCLを直接見に行こうと思っている。マンチェスター・ユナイテッドのようなチーム、グループに短期間でうまく順応することは簡単なことではない。繰り返しになるが、直近の試合を見る限り、かなりチームに順応してきている印象を持っている」

―昨季のJリーグ優勝チームである広島から招集されたのは一人だけだが?
「広島は素晴らしいチームだと思っているし、昨季の戦いぶりも素晴らしかった。日本に来て3年目になるが、昨季に限らず、優勝しなかった年もいい試合を見せていた。チームとしての組織がしっかりしているし、選手のクオリティーも高い。これまでも広島から森脇、李、佐藤、西川を呼んでいるし、いい選手がそろっているという印象を持っている。先ほども言ったが、ラトビア戦はインシーズンでコンディションの整っている選手を呼びたかった。国内組の若い選手も何人か見てみたかったが、そういう理由で招集に至らなかった。国内組の招集基準については、いつからキャンプに入り、何回練習しているかも考慮に入れて招集した」

―これまで若手を招集しても試合に起用しないことが多かったが、大津の場合は?
「可能性があれば使いたいし、ピッチでも見てみたいと思っているが、今回の23人のコンディションやバランスを考えて冷静に判断したい。間違っていなければ大津は試合の前日にしか入れないスケジュールだと聞いている。それも考慮する」

―遠藤や今野はJ2からの招集になるが?
「2年前にも今野はF東京時代にJ2を経験している。その経験を踏まえると、心配はないと思っている。当時、今野は心身ともに素晴らしい状態で代表に来ていた。この2人は代表の常連で、中心選手。常に来てもらいたい2人ではある」

―MF登録が4人なのは?
「そこのポジション(ボランチ)は試合で2人起用しているが、そこに4人いるので十分だと思う。何かあっても他の選手がそこのポジションをできるので、あまり心配していない。このチームの強みでもあるが、日本人はユーティリティーな選手が多いので、大きな問題はない」

―昨年の2月には若手も合宿に呼んでいたが?
「理由としては昨年は2試合あったが、今年は1試合で、集まれる日数も少ない。グループを固めて、コンセプトの再共有を短い時間でやっていきたいと思っている。クラブのやり方をゼロにして、数か月前にやった代表チームのやり方をしなくてはならない。それは簡単なことではない。幸いにも若いタレントはまだまだいる。扇原、山口、鈴木、柴崎の名前が挙げられると思うが、彼らは代表候補だと思っているし、どんどん成長してほしい。すべての名前を挙げることはできないが、若い才能が順調に育っている印象を持っているし、去年もJリーグで活躍していた」

―日本では指導者の体罰が問題となっているが、こうした暴力を伴った指導についてどう思うか?
「まずはイタリアでこういったことは起こらない。今朝、新聞を通じて情報は入っているが、驚きがあるし、こういうことがあるのは残念。指導者、インストラクターの重要な役割にアスリートを育てることがあるが、それを達成するために暴力は必要ではない。サッカーでも、時に監督は怒るし、感情をあらわにすることはあるが、それと選手に体罰を与えることは直結しない。新聞での少しの情報しか入っていないので、多くは語れないが、レアなケースが表に出たと思いたいし、今後こうしたことが起こらないように祈りたい」

(取材・文 西山紘平)

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