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17年前の思い出の地ソロカバでブラジル合宿スタート…感慨ひとしおの遠藤

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 これも運命か。日本代表のブラジル入り後初練習の会場となったソロカバは、今から17年前、MF遠藤保仁(G大阪)が鹿児島実高2年の春休みにサッカー留学したところ。当時サンパウロ州1部に所属していた強豪のECサンベントスの練習に1か月間参加した思い出の地で、34歳のベテランは感慨深げに言った。

「これだけ広いブラジルで、ここで初日を迎えられるのは個人的にはうれしいこと。ここでは多くを学んだから」

 留学中の1か月間にはトップチームとのトレーニングはもちろん、練習試合にも混じって出場した。

「初めてプロの練習に混ざったのがここ。プロの厳しさや、選手たちのサッカーに対する強い思いを見て、勉強になった。そのときの経験は今の自分にとって大きい」と懐かしむように、遠藤は鹿実を卒業後、ブラジル人が中心選手として活躍していた横浜フリューゲルスに入るという決断を下した。

 昨年12月にも遠藤はソロカバに来て自主トレーニングを行った。ブラジルW杯へ向けて、初心に返るという思いがあったことは想像に難くない。

 ただ、そのときは日本代表がW杯の練習場所としてソロカバのスタジアムを使うことは知らなかったという。それだけに、合宿地がイトゥに決まり、ソロカバでも練習をやると知ったときは奇遇な運命を感じたに違いない。

 ブラジルでの練習初日には鹿実時代の恩師であるジョゼ・カルロス・ド・ナシメントコーチ(56) が日の丸の旗を持参し、遠藤と伊野波雅彦(磐田=鹿実出身)を激励した。

「当時の遠藤にはトレーニングでの厳しさがなかった。『プロになるなら厳しいプレーをしろ。甘いプレーはするな』と言った。しかし、18歳のときからよく伸び、すごい技術になっている。日本は遠藤がいるときはOKだが、いないとチームが変わってしまう」と愛弟子の成長に目を細めた。

 練習前にカルロスコーチと会ったという遠藤は「指宿からやってきて、ようやくW杯が近づいてきた。アメリカで良いトレーニングを積めたし、またここでさらに良い緊張感と高いモチベーションを持ってやっていけば、W杯へ向けて良い準備ができるのではないかなと思う」と表情を引き締めた。思い出の地でスタートを切り、南アフリカW杯を超える活躍を見せるつもりだ。

(取材・文 矢内由美子)

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