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[練習試合]怪我に苦しみ続けた逸材GK中村、U-19日本代表とともにアジア突破を

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[6.12 練習試合 U-19日本代表 0-2 湘南 馬入]

 右手首の骨折や右膝外側半月板損傷と負傷が続き、年代別日本代表から遠ざかっていたGK中村航輔(柏)が、「コンディションは問題ない」という状況まで復調してきている。この日はU-19日本代表のGKとして先発し、1本目の45分間を無失点。大声でのコーチングでチームを動かし、至近距離からのシュートをストップするなど「(前日の横浜FC戦に続き)ゼロで抑えることができているので、自分の仕事をやることができたという感じです」と微笑んだ。

 抜群のシュートセーブ力と「フィールドプレーヤーと変わらない」という周囲からの評価を得ていた足下の技術を武器に、U-17日本代表の守護神として11年U-17W杯8強進出に貢献した中村はその後、年齢的に上の世代であったU-18日本代表、U-19日本代表へとステップアップ。早くから「将来の柏、日本代表の守護神」という声が上がるほど注目を集めていた。だが、12年夏の負傷によって、正守護神候補として期待されていた前回のAFC U-19選手権には出場することができず。チームも準々決勝で敗れて予選敗退の憂き目にあった。その後もリハビリの期間が続いた中村は、昨年12月の候補合宿を再び負傷辞退するなど、自らと同じ95年生まれ以降で構成されている現U-19日本代表から遠ざかっていた。本人も「入りたかったです」という代表チーム。ただ怪我が癒えた中村をU-19日本代表の鈴木政一監督は早速招集し、5月の福島合宿に続いて今回のUAE遠征・神奈川合宿もメンバー入りさせた。

 スタッフの推薦も受けて招集し、実際に中村のプレーを見た鈴木監督は「強さ、速さ、決断力、高さも素晴らしいものを持っていると思いました。今回ウチ(U-19日本代表)がどういう守備をするか理解してもらわないといけない」と語り、同じく招集しているGK田口潤人とともに主力候補であることを明言。まだチームへの合流から日が浅いため、今回の合宿中も試合で新たに戦術の認識をした部分があった。ただ、実力に対する評価は非常に高いだけに、今後チームの活動を通して戦術理解を深めて、より力を発揮していくことが期待される。

 U-19日本代表は今年10月のAFC U-19選手権を突破して4大会ぶりのU-20W杯出場を狙う。中村は「(前回の予選は)出たかったし、出れなかった。ただ運よく早生まれなので次の大会の最終予選があるし、世界大会に行ければいい」と力を込める。怪我で離脱する期間が長かったものの、怪我した期間に得たものもある。「ずっとこれからあとに良かったと思えればいいし、今はそんなことは思っていないですけど、もしなることがあれば嬉しいです。自分のやるべきことはクラブでも代表でも変わらない。点を取らせないことがどんなチームでもGKの仕事だと思うので、そのことを第一に考えています」。相手に点を取らせないこと。その役割を果たして今秋、2大会越しの挑戦となったAFC U-19選手権で歓喜を味わう。

(取材・文 吉田太郎)

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