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“本職外”のトップ下で代表初得点の原口「ここを第一歩に」

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[6.11 キリンチャレンジ杯 日本4-0イラク 日産ス]

 前半とは打って変わって流れの悪い時間帯が続いていた後半。嫌なムードを振り払うゴールを生み出したのは、後半21分からピッチに立っていたFW原口元気(ヘルタ・ベルリン)だった。

 後半39分、敵陣でこぼれ球を奪うと、DFをかわしてドリブルで運び、右に流れながら右足を一閃。GKの動きをしっかり見て打った渾身のシュートは見事にゴールネットを揺らし、日本は4-0とリードを広げた。

 代表4試合目にしてうれしい初ゴール。「目の前に敵がいたけど、そこだけかわせばいけると思った。うまく前に運べたし、シュートが上手く決まって良かった」とホッとした表情だ。

 約2年ぶりの代表復帰を自ら祝うゴール。それでも笑顔満開といかないのは、慣れないトップ下というポジションでの途中出場で、うまく試合に入ることができなかったからだ。パスミスが目立ち、後半31分に打ったシュートもやや強引。空回り気味の雰囲気も漂った。

「緊張もあったし、慣れないポジションで見える景色が違っていた。真ん中は自信があるかと聞かれれば、ないポジション。ターンできるところもターンできず、“安パイ”なプレーが多くなってしまった。ミスが多かったし、判断も良くなかった」と反省の弁が口を突く。

 けれども、「難しいと思っていたところであのゴールが入った。プレーの質自体は良くなかったけど、ゴールが入って良かった」と振り返るように、ゲームの流れとは無関係に難局を打開できるという、原口本来の魅力を出すことはできた。

「真ん中じゃなかったらあのゴールはなかったと思う。どこでもできないとチャンスはもらえない。トップ下の質も上げていかないといけない」と意欲的だ。

 ピッチに入る際のハリルホジッチ監督からの指示は「ポジションとセットプレーの確認だけ」。試合後も「監督からはまったく何もないです……」と寂しがるように苦笑いしたが、ゴールという結果を残したことは決して小さくない。浦和時代のチームメイトであるDF槙野智章は「交代選手である(原口)元気が点を取ったことでチームが活性化した。元気自身、8割が守備戦術というヘルタでやってきたことで攻守の切り替えなどが速くなったと思う」と目を細めた。

「ここが終わりにならないように、第一歩にしたい。目標は香川真司くんや本田さんのように多くのゴールで日本に貢献していく選手になること。これがその最初の一歩になってくれたらいい」と言葉に力を込める原口にとって、下部組織時代から在籍した浦和のホームである埼玉スタジアムで行われる16日のシンガポール戦は、是非とも出場機会をつかみたい試合だろう。

「埼スタで試合に出られたら、帰って来られてうれしいという気持ちになると思う。そういう気持ちを込めてプレーしたい」と目を輝かせた。

(取材・文 矢内由美子)

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