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出場時間トップも謙虚すぎる20歳…冨安の成長の秘訣「引きずらず、くじけず、やり続けること」

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大会を通じて成長する日本代表DF冨安健洋(シントトロイデン)

[1.28 アジア杯準決勝 日本3-0イラン アルアイン]

 重圧のかかるアジアカップで全試合に出場。日本代表DF冨安健洋(シントトロイデン)が大会を通じて目覚ましい成長を遂げている。「スキを見せないようにプレーする」と堅実な選手を志す20歳は、準決勝のイラン戦で今大会4得点のFWサルダル・アズムンを見事に完封し、決勝進出の影の立役者となった。

 マッチアップしたのはイランが誇るアジアトップ級のストライカー。滞空時間の長いジャンプ、力強いポストプレーだけでなく、時には嫌らしい身体の当て方をしてくるクレバーな相手だったが、「ちょっかいかけるほうじゃないので、自分のプレーに集中することだけを意識していた」と事も無げに振り返る。

 光ったのは20歳とは思えない安定感。相手の縦パスに身体を入れてインターセプトする場面、不利な態勢でのクリアを強いられる場面など、ミスをしやすい状況は多々あったが、正確なプレーの連続でピンチを最小限にセーブ。チームメートからの評価も高く、DF長友佑都は試合後に「規格外」と称えていた。

 ただ、本人はそうした賞賛を真正面から受け止めることはしない様子。「相手がシンプルにロングボールを放り込んできたけど、前の選手が切り替えを早くしていて、限定されたロングボールが多かった」と述べると、「それは僕だけの力じゃない」と、あくまでも謙虚な姿勢を崩さない。

 自らのキャラクターを「メンタル的に苦しい時もあるし、ポジティブなタイプじゃないのでネガティブになりがち」と分析。今大会の取材対応でも、失点につながらなかったピンチの場面を一つ一つ反省点として指摘し、「どれだけ完璧に近づけられるかが課題」と語るなど、自身に妥協を許さない性格だ。

 ただ、自身のミスを引きずらないよう努力をしつつ、成長につなげようとしているという。「やられても立ち上がってやらないといけないし、それがあってこそ成長できていると思いたい。引きずらず、くじけず、やり続けること」。そういった不断の心がけが今大会での活躍につながっているようだ。

 全6試合出場、出場時間450分はいずれもチームトップ。決勝での先発も間違いなさそうだ。「無失点に抑えるテーマは変わらないし、いきなり自分のやれることが増えるわけじゃない。やれることを徹底すること、あとは優勝するという気持ちが大事」。アジア制覇をかけたビッグマッチ、驚異の20歳は等身大のプレーで頂点を目指す。

(取材・文 竹内達也)
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