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過去の3バック挑戦も知る川島「選手はぎこちなさを感じていない」

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練習後、ファンとハイタッチするGK川島永嗣

 ザックジャパン時代の3-4-3も、西野ジャパンでの3-4-2-1も経験している日本代表GK川島永嗣(ストラスブール)が森保ジャパンの3-4-2-1を“高評価”した。

 ベンチ外となったトリニダード・トバゴ戦をスタンドで観戦してから一夜明けた6日、04年から06年まで3シーズンを過ごした古巣・名古屋のホームスタジアムで汗を流したあと、取材に対応し、「今まで3バックをやったときよりは、選手は良い感覚でできていたのではないかと思う」とポジティブな感想を率直に語った。

 アルベルト・ザッケローニ元監督時代は、就任した翌年の11年に初めて3-4-3を採用した。3-4-3は同監督がイタリアで名を馳せたときの“宝刀”とも言うべきシステム。ところが、11年6月のキリン杯2試合(ペルー戦、チェコ戦)で本格的なトライを始めると、2試合とも消化不良に終わり、スコアは0-0。その後も何度かテストを続けたが、うまくいくことがないまま封印されていった。

 また、ロシアW杯2か月前に就任した西野朗前監督は初陣となった昨年5月の国際親善試合・ガーナ戦で3-4-2-1を採用したが、0-2で敗戦。W杯まで時間がなかったこともあり、早々に見切りをつけた。

 今回は、森保監督が合宿のスタート時からオプションとして3バックを試していくことを選手に告げての新システム採用だった。川島は「今までは、やってもしっくりこないことも多かったし、見ていてもしっくりきていなかった」と言いつつ、「今は選手はぎごちなさを感じていないと思う」と前向きに受け取っている。

 背景には、代表選手たちがそれぞれの所属で臨機応変なプレーに取り組んでいることがある。試合によってシステムを変えることは珍しくなく、「今いる選手は順応性が高い」(川島)という。

 ただ、評価にはあくまで“初戦としては”という但し書きがついており、突き詰めていかなければならないことは多い。川島が特に上げていきたいと感じているのは攻撃時の機能性。「守備的にやるためだけの3バックじゃないと僕は思っている。昨日も、攻撃でサイドの選手がもっと良い形で上がっていけるとも思うし、相手にとって数的不利になるシーンを作れたと思う」。ビルドアップを含め、攻撃時の連携を高めていくことで本当に使える3バックになるということだろう。

 次は9日にエルサルバドル戦がある。最低3試合を戦うコパ・アメリカ(南米選手権)のメンバーにも入っている。「シミュレーションというより、1試合1試合、W杯予選に向かっていく中でどう熟成していくか」。出番への渇望も含めて、目の前の一戦に集中した。

(取材・文 矢内由美子)

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