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日本代表vsU-24日本代表 試合前日の森保一監督会見要旨

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森保一監督

 日本代表は3日、札幌ドームでU-24日本代表とのチャリティーマッチを行う。キリンチャレンジカップ・ジャマイカ戦の中止を受け、急遽決まった一戦。森保一監督は2日、オンラインで前日会見を行った。

 以下、試合前日の森保一監督会見要旨

●森保一監督
—チャリティーマッチの開催をどのように受け止めているか。またいつもと趣の違う試合になると思うが、どのようなアプローチで試合に臨むか。
「ジャマイカ戦を楽しみにしていたし、選手もジャマイカを想定して準備をしていたと思うので、その試合ができなかったことにおいては残念なところもある。しかし、U-24との試合ができることにおいて、活動がなくなってしまうということにならず、テレビ中継もやってくれるということで、チームの強化という部分では対戦相手が変わったが、試合ができることをポジティブに捉えている。今回は北海道で、札幌ドームで試合をさせていただくが……長くなってもいいですか。過去を振り返ると、2018年9月に私の代表監督としての初戦となるチリ戦が行われる予定だったが、胆振東部地震で試合ができなくなった。試合がなくなってしまったが、地震があった当日から停電があったり、生活のインフラが止まってしまったりという環境の中で、われわれはホテルの中で何も不自由なく過ごさせてもらった。ホテルでも停電があった中、われわれが泊まったホテルは自家発電で電気を使わせていただき、ご飯も食べさせてもらって、生活に不自由するようなことはなく、手厚くサポートしてくれた。練習もさせてもらったし、地震後のホテルの従業員さん、北海道FAの皆さん、北海道民の皆さんに手厚くサポートしていただいたのが心に残っている。またあらためて試合をする機会が札幌であれば、戻ってきてお礼や感謝を伝えたいと思っていました。サッカーを通じて恩返しができればと思っていました。地震があって、従業員の皆さんも、北海道FAも家族を心配しないといけないところだが、不安な顔は一切なくサポートしていただいたことを覚えています。そういうところをサッカーで返したいです。多くの犠牲者の方も出たので、ここで改めて北海道の地でご冥福をお祈りして、被災した方々の傷は癒えていないと思うので、札幌で祈りを捧げたいと思います」

—JFA公式YoutubeのTeamCamで「競争を煽るつもりはない」と言っていた。競争とチームのバランスの取り方はどのように考えているか。
「一言で言うと、競争は当たり前なので、わざわざ私が煽る必要はないかなと。選手たちはそれぞれポジションを取るために、ライバルであり、仲間である選手たちと日々競争はしている。煽るつもりはないけど、いつもどおりのプレーをしてほしいというか、いつもどおりの思いを持って練習からしてほしいと伝えようと思っている。チームで戦うことはもちろん大切だけど、その前に高いレベルでのポジション争い、激しく厳しくトレーニングすることがチームのレベルアップにつながるし、試合へのいいエネルギーを生む。そうすることが試合に出場できる選手、できない選手がいるが、トレーニングから必ず自分の価値を高めることができると伝えていけたらと思っている」。

—チャリティーマッチは勝ちにいくか。
「はい、勝つために戦ってもらいます」

—1985年には読売クラブと日本代表が対戦して代表が負けたという過去がある。そんなことも考えていないと思うが、明日負けたりすると……と言うのは考えているか。
「負けると言うことは考えていないし、選手たちには勝つために戦ってほしい、勝つために自分の力を100%発揮してほしい、チーム力を100%発揮してほしいという、いつもどおりのことを選手たちに伝えたい。『試合だから勝ちに行く』ということだけで日々を過ごしているわけではない。練習から選手たちは一つ一つの局面でバトルを繰り広げ、自分が対峙する相手に勝っていこうというのをやってくれている。ミニゲームの中でも勝ちにこだわってプレーしてくれている。練習の中から強調して言っているし、トレーニングから勝つことにこだわってお互いが激しく厳しくプレーすること、そこでクオリティーを上げて、試合に向けていいエネルギーを作って試合に向かうことを日々やっている。試合に向けて勝ちにいくことは伝えているが、普段からの延長上で戦ってほしい。勝ち負けはA代表とU-24の戦いで出てくるし、両方とも勝ちにこだわってプレーしてほしい。A代表は直近の試合でも勝って当たり前とか、勝つためにやってくれているので、その思いをぶつけてほしい。U-24は目の前の大きな大会、オリンピックで結果を出すことを最大の目標にしているが、選手たちの目標の先にはA代表でポジションを掴む、A代表で結果を出すということがある。U-24の選手たちにはギラギラしたものをぶつけてほしい。A代表の選手にはそれを受け止めるのではなく、持っているものをしっかり出すこと、チームの強化と自分の価値を上げることを出してほしい。すごくいい試合ができると思う。最後に言うと、ワンチームツーカテゴリの戦いなので、激しく厳しく同じコンセプトの中で戦っているし、チームとしての方向性が同じ中で切磋琢磨しているということを見ている方々に感じてほしい。見てほしくないのは同じチーム同士の対決で傷つけ合う姿。激しく厳しくとの境界線は難しいが、クリーンに激しく厳しくということでぶつけてほしい」

—1985年のことは記憶にないですか。
「ないですね。でもありうるんじゃないですか。当時の読売クラブはめちゃくちゃ強いと思いますし、チームとして成熟しているのがクラブチームという場合もある。ドイツがW杯で優勝した時ですかね、バイエルン・ミュンヘンの選手が代表にほとんどいたということもあるので。クラブチームに質の高い選手が集まると練習のクオリティーも上がる。そういう意味で、読売クラブが日本代表に勝ったというのは不思議ではないです」

—日程も厳しい中、チャリティーマッチを行うデメリットをどのように考えているか。
「デメリットという点ではU-24は本来であれば明日が移動で、試合に向けてトレーニングして五輪世代とオーバーエイジとの融合を図りながら試合に向けてエネルギーを高めていくところだった。そこは横内監督に申し訳なかったと思う。ただ横内監督と話をして、この試合を行うことのメリットは大きいのではないかと話した。ジャマイカ戦がなくなって、日本のサッカーとしてはピンチの状況になったと思う。ジャマイカ戦もそうだし、普段の試合、普段の活動の環境を作ってくださる多くの関係者がいる。今回のジャマイカ戦が中止になったのはコロナ禍で試合をすることによるアクシデントだと思っているが、普段われわれが支えてもらって活動できるぶん、こうして試合ができないことで難しい状況になっているところを、われわれが五輪代表と試合をさせてもらうことで、われわれの強化にもつながるし、試合の環境づくりをしてくださっていた方々に、われわれがいつもしてもらっている恩返しをする機会にもなると考えた。U-24のスタッフには申し訳ない部分もあるが、日本のサッカーは環境づくりをしてくださっている方々と現場のわれわれが協力してピンチを乗り越える、そしてこのピンチが次へのチャンスになるということをやっていければということで話をした」

—オーバーエイジ、U-24選手が抜けた中、A代表が高めていきたいところは。
「ミャンマー戦からチームが二つに分かれて、また新たな選手が入ってきて、A代表とU-24の活動ができるという部分でチームの底上げになる活動ができると考えている。チームが違う中で戦っているけど、ワンチームツーカテゴリということで言うと、(チャリティーマッチは)実は同じチームで対戦していることになると思っている。われわれが普段から幅広く選手たちを見ていて、可能性のある選手たちもたくさんいるので、そういった選手を招集させてもらいながら、チームの底上げをする、ベースをより広く強固にしながら最強のチームを作っていくという点で、今回は非常にいい活動ができると思っている。オーバーエイジだけでなく、五輪世代の選手の中にもA代表に定着している選手が何人もいるので、そういう選手がA代表からいなくなることはもちろんチームにとって痛いことだが、それ以外にも力を持っている選手はたくさんいると思う。今後も計算どおりに、プランどおりに選手が試合に出られるとは思わないので、これまでレギュラークラスだった選手がいなくなった時、また他の選手がいい経験を積んでくれて、チームとしてのレベルアップにつながるという意味ですべてポジティブに考え、活動していきたいと思っている」

—今回はチャリティーマッチとして行われるが、全国のファンにメッセージはあるか。
「これも長くなることですが、われわれが活動をさせてもらっている北海道、われわれはいま札幌に拠点を置かせてもらい、札幌ドームで試合をさせてもらう予定でいるが、緊急事態宣言下にある。それは東京で活動していても同じだし、これから大阪、兵庫で試合をさせていただくことになるが、緊急事態宣言やまん防であったり、制限が全国的にある中で特別に試合をさせてもらっていることを理解している。なぜ試合をさせてもらっているかというと、サッカーを通じて社会に貢献しなければならないということだと思っている。コロナ禍で医療従事者も含め、たくさんの方々がコロナと戦い、大変な生活を送っている。チャリティーを通して、多くの方々に寄付をしていただくことによって、集められた寄付が大変な生活をされている方々、コロナと戦っている方に届けばうれしいと思っている。いま大変な生活を送られている方もいると思うし、コロナだけでなく、近年は自然災害でもいろんな困難に各地域の皆さんが苦しんでいると思っている。日本代表として全国に想いを馳せていかないといけないが、いろんな地方都市で試合をさせてもらいながら、その土地で何が起きているのかを考える機会にさせていただいて、その土地で励ましのメッセージを受け取ってもらえるようにしていきたいと思っている。私が記憶している中では、手厚くサポートしていただいた2018年の北海道胆振東部地震で亡くなられた方に、北海道の地でお祈りを捧げたいし、心が傷ついている方々、暮らしが戻っていない方の生活が早く元通りになるようこの地で祈りを捧げる機会にしたい。復興に向けて頑張っている方々にメッセージを届けられたらと思っている。われわれが地域に行った時、少しでも元気や勇気を届けられる試合と活動をしたい」

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