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田中碧を信じた久保建英「絶対に出してくれると思った」

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U-24日本代表MF久保建英(レアル・マドリー)

[7.22 東京五輪GL第1節 U-24日本 1-0 U-24南アフリカ 東京]

 苦しむチームを救った。大事な東京五輪初戦。この試合で唯一のゴールを記録したのがU-24日本代表MF久保建英(レアル・マドリー)だった。

 苦戦した。5-4-1のシステムを採用し、守備に重心を置いた南アフリカを崩し切れず。ボールこそ保持して敵陣で試合を進めたものの、なかなかゴールをこじ開けられない。スコアレスのまま迎えた後半も流れは変わらず。日本が攻め、南アフリカが守る。そして、スコアは動かない。

 しかし、久保の左足が焦れるような展開を打ち破る。後半26分、左サイドでMF田中碧(デュッセルドルフ)がボールを受けると、「田中選手はいつもポジティブにプレーしてくれるので、ボールを持ったら、とりあえず呼んでみようとしていた」と逆サイドで久保がボールを要求。すると、その信頼に応えるように田中からピンポイントのボールが届けられた。

「あの場面は絶対出してくれると思っていた。パスが来る前からトラップの後のことを想定していた」

 ピタリとボールを止める。ここからは自身の見せ場だ。「トラップが本当に自分の思い通りのトラップになった。これは簡単に中に行けると思った」。対面する相手をワンフェイクで後手に回らせ、シュートコースを生み出すと左足を振り抜く。ファーサイドに飛ばされたシュートはポストに当たりながらもゴールマウスに収まり、値千金の決勝点が生まれた。

 ネットが揺れたことを確認すると、雄叫びを上げながら歓喜の疾走。「試合の途中から『今日、決めるとしたら自分だ』と言い聞かせていた。そういう気持ちでやらないと勝てないし、待ってても誰も決めてくれないと思ったので、チームを勝たせることができて良かった」。苦しむチームを1-0の勝利へと導いた20歳は、充実の表情を浮かべていた。

(取材・文 折戸岳彦)
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