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[MOM3545]U-17日本代表FW南野遥海(G大阪ユース、2年)_3戦4発!“FWとして生きていくため”増やした抜け出しで結果

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U-17日本代表FW南野遥海は3試合で計4ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.11 2021 Balcom BMW CUP最終日 広島ユース 1-2 U-17日本代表 広島一球]

 決勝点となる2点目が決まった瞬間、チームメイトから「遥海、スーパー」と感嘆の声が漏れた。今大会で奪ったゴールは3試合で4得点。ガンバ大阪ユースのFW南野遥海(2年=G大阪Jrユース出身)が、U-17日本代表のエースであることを証明するパフォーマンスだった。

 ゲームの主導権を握り、再三のチャンスがあった前日の広島県高校選抜U-18戦とは違い、この日の試合では、広島ユースの勢いに押され、立ち上がりから良い形でボールが入らない。それでも、強かに一発のチャンスを狙い続けていたのはストライカーとしての本能だ。

 特に目を惹いたのは、ゴール前に抜け出して行く動きだ。これまでは力強い突破から放つ左足シュートを武器にしていたが、ゴール前へのスペースに抜け出す動きが増えてきた。その理由について、南野はこう話す。「高校年代になって、これ以上身長が伸びない可能性が高い。長身なら競り合いで勝てるけど、身長はないので動き出しの部分で相手より先手を獲らないと生きていけないとストライカーコーチの大黒(将志)さんや森下(仁志)監督に言って貰えたので意識してきた」。

 劣勢の中でチャンスを待ち続けた南野に待望のゴールが生まれたのは、前半37分。MF安部大晴(長崎U-18、2年)のスルーパスで、DFの背後へと抜け出すと、前に出たGKに倒され、PKを獲得。自らがキッカーを務め、冷静にゴールネットを揺らした。「個人的にはボールを収めたかったけど、流れの悪い時間帯にカウンターでファールを貰って点を獲れたのは大きかった」。

 後半も広島ユースが主導権を握り、15分には同点に追いつかれた。だが、直後の19分にはMF坂井駿也(鳥栖U-18、2年)がDFの背後にロングフィードを通して、ビッグチャンスが生まれた。「試合前から狙っていこうと思っていたら、前に出た相手をひっくり返す良いボールが来た」と振り返る南野はDFの背後で受けると、鋭い切り返しでDFをかわして、左足シュートを叩き込んだ。このゴールが決勝点となり、U-17日本代表が勝利。3連勝での優勝を果たした。

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、チームとしての活動が長きに渡って停止していた。「体力的に落ちていたし、試合勘もなかった。チャンスを感じられなくなっていた」と話す南野は、7月末に行われた日本クラブユース選手権(U-18)で奪ったゴールは、三菱養和SCユース戦の1点のみに終わった。しかし、今大会の初戦となった鳥栖U-18戦では後半18分からピッチに立ち、ワンチャンスをしっかり物にした。続く第2戦の広島県高校選抜U-18戦は、セットプレーからヘディング弾をマーク。「ここで決めたらチームが楽になるという場面で得点できたのが一番の収穫」と振り返ったように、ストライカーとしての本能を呼び戻すきっかけとなった。

 今季のプレミアリーグWESTでは4試合で3得点をマークし、リーグ5位につける。今後の試合でも得点ラッシュに期待がかかるが、見据えるのは先のステージだ。「プレミアで点を獲ることがゴールではない。1日でも早くトップチームに絡むことを目標にしているので、そのためには得点という結果が一番分かりやすい。そこをもっと突き詰めてやっていきたい」。進化を続ける彼なら、自らのゴールで明るい未来を切り拓いていくはずだ。

(取材・文 森田将義)

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