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U-20日本代表 U20アジアカップメンバー発表 冨樫剛一監督オンライン会見要旨

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冨樫剛一監督

 日本サッカー協会(JFA)は15日、オンラインで記者会見を行った。3月1日開幕のAFC U20アジアカップウズベキスタン2023に臨むU-20日本代表メンバー23名が発表され、会見では冨樫剛一監督が質疑に答えた。

 U-20日本代表は、グループリーグで3月3日に中国、6日にキルギス、9日にサウジアラビアと戦う。グループ上位2チームが準々決勝に進出。準決勝まで勝ち残れば、5月にインドネシアで行われるU-20W杯に出場できる。なお、U-20W杯開催国であるインドネシアがU20アジア杯で上位4チームに入ると、1枠がプレーオフで争われる。

冨樫剛一監督
「この23名で最終予選を戦い、W杯に行き、そしてアジア1位を取って帰ってきたい。このチームがU-18からスタートして、大岩剛(現U-22日本代表監督)、そして船越優蔵(U-20日本代表コーチ)、そして私の3人でスカウトをした。たくさんの選手を視察し、キャンプを繰り返し、なかなか海外には行けなかったが、各選手が自チームで、代表で、しっかりと活動をしてきた。そしてU-19になり、プロになった選手がそのチームでレギュラーを取り、もがき苦しみながら日々を過ごしていく中で、ようやく世界の戦いに出ていくことができた。このチームはなかなか最初はうまくいかないことも多かったチーム。その中でも契機になった戦いが、国内のトレーニングキャンプ、大学選抜との戦い、フランス遠征。去年の暮れに行ったスペイン遠征での実際にW杯に出場する国との戦いで、身をもって肌で感じ、そして自分たちに何ができ、何ができないのかを理解した上で成長していけた。その中で責任を持ってこの23名を選んだ。いいチームだと思う」

─メンバー選考の意図は?
「私たちはW杯出場を得るだけではなく、アジア1位を取り、W杯で世界一を取ってA代表につなげていく。そういう基準の中で、選手たちが日々成長していった。そこが一番大事。そして今回、Jリーグが始まる本当に難しい時期の中、各チームの監督や関係者の方にこの活動を理解していただけて、招集していただけたことに感謝でいっぱい。だからこそ責任を持って戦いに行きたい。選手には思い切ってプレーしてほしい。グループリーグの中で、前回覇者のサウジアラビアがいて、非常に難しいゲームになる。そして各チームは事前キャンプを行っているかと思うが、私たちはリーグが始まる直前ということでキャンプはできなかった。その分、各チームのキャンプを視察させていただいた。このチームは戦術的に柔軟性を持っていると思っている。そういう中で、オリジナルなプレーを持っている選手以外にも、複数のポジションができるということで選手を選ばせていただいた」

─唯一の海外組、DF高橋仁胡(バルセロナ)の招集意図は?
「仁胡はフランス遠征でもこのチームに参加している。U-18でスペイン遠征のときも、こちらに来て活動をした。フランス遠征のときから比べると、11月の遠征ではものすごく成長していた。戦術的で頭の回転がすばやく、体の反応ができていた。年下だけど、これだったら自分たちのチームの力になれるだろうということで選んだ」

─具体的にどのような成長があったか。
「しっかりとした守備から入れるということ。いまのバルセロナ・フベニールの戦いだと、比較的に後ろのサポートが多い。しかし代表に来るとそこから前に関わっていく。そして、左足の精度の高いボールは彼にとって最もすばらしい特徴だと思っている。そういう部分がアジアの予選では必要になってくるというところで選んだ」

─U-20W杯出場権のベスト4進出以降も、決勝までJリーグ選手も含めて帯同か。
「しっかりとアジアの予選を戦い、出場権を得ることがまず大前提。その大会が終わって1か月後には大会がスタートする。そこからいろんなことができるとは思わないし、また各チームの状況も出てくる。その後のことはその後のことと思っている。」

─未来のA代表となる可能性もある選手たちが揃う。伝えていることはあるか。
「彼ら自身は高い志を持ってこのチームに臨んでいる。A代表で優勝したことのある8か国のうち6か国がU-20で優勝しているという事実も含めて、私たちが将来の世界一、サッカーの強豪国になっていく上で、このチームの選手たちの活躍が上につながると、彼らと一緒に話をして活動をしている」

─昨年の予選ではキャプテンはMF山根陸(横浜FM)だった。今回の考えは?
「アジアの一次予選はいろいろなことがありながら、陸がしっかりとチームをまとめてくれた。副キャプテンをやっていた者、そういう役割がない選手たちも、非常にいい働きをしてくれていた。最終予選に関しては状況もあると思うので、そこはまた考えていきたい」

─FW横山歩夢(鳥栖)がMFとして編成されている意味は?
「歩夢は攻撃のところでしっかりとまず関わってほしい。現状のポジションを含めて、彼はそういう形での選出をさせてもらった。まず自分のストロングをしっかり出していくことがチームのためになる。本人ともそのあたりの話はできている。このチームはいろんなポジションができれば、十分にできるとは思っている。柔軟性を持って取り組んでほしい」

─昨年の負傷では悔しさも。横山の成長をどう見ているか。
「あのときは残念だった。彼自身も期待をして活動に臨もうと思っていたときだった。非常に残念だったが、その分この年代は自チームでの試合経験、そして日常の基準というものが大事。怪我をしたからといって、それがけっしてマイナスではないということを、彼をずっと追いかけてきて思っている。そして今回移籍という新しい環境を選んだ。トレーニングキャンプを見させてもらって、J1のチームということで基準がグッと上がったが、十分やっていっている」

─DF諏訪間幸成(筑波大)の成長はどう見ているか。
「U-18で彼を一度呼んだときから、しばらく代表からは離れた。その中で、この年代というのは試合経験がものすごく大事。特にCBで、常に対人をして危機感を持ってプレーをしていたことが、彼にとってはかなり成長になった。なので一年生から出場したことによって、スペイン遠征での彼のプレーぶりはものすごく成長していた。強さが増したなと思う。スペイン遠征では3バックのトライもしたが、ビルドアップも成長していた。この最終予選は戦いになると思う。そういう部分を期待して選んだ」

─選外の選手もJリーグで飛躍的に成長する可能性がある。どうチェックするか。
「23人という枠しかない中で本当に苦渋の決断だった。実力はこのチームにいてもおかしくない選手も、まだまだ日本にはたくさんいる。今回の大会に外れただけであって、大事になってくるのはサッカー選手としての成長。自チームでの試合出場、その中での結果が間違いなく無視できないものにはなってくる。私たちが向こうに行っている間も、もちろん映像でもチェックする。また大岩監督、森山監督とも情報の共有はしている。逆にこの年代だけでなく下の年代にもたくさんいい選手がいる。成長を期待している」

─今回のポジションはファーストチョイスの意味合いか、それとも便宜上か。
「その表記にこだわりがあるわけではない。一番大事になってくるのは、ピッチの上での立ち位置であったり、相手との駆け引きの部分。スタートポジションは取るが、90分の中でシステムや立ち位置は目まぐるしく変わってくる。もしかしたら選手は疲弊するかもしれないが、それ以上に、私たちはゲームに勝つための選択ができるプレーのほうが大事だと思っている」

─ユーティリティという意味では、DF屋敷優成(大分)は選ばれるたびにポジションが変わる印象がある。
「彼は自分の自意識では攻撃の選手だと思っている。ただ彼のスピード、性格の部分でも、たとえば右のSBでも十分やっていけている。彼自身もトライしてくれている。彼にとって出場するチャンスが増えるのではないかなとは思っている」

─各クラブからの選出が最大2人までだった。制約があったのか。
「対戦相手を考えた上で、一番力が出せる選手たちをピッチ上に並べて、いろんな想定をした中で選んだ。このメンバーになってそれを見たときに、最大2名チームからお借りする状況になった。その人数はまず考えないで、ピッチの上に立たせてみたら、こういう風になったということ」

─J1でもコンスタントに出場したMF松木玖生(FC東京)に期待するところは?
「オリンピック代表でも招集されている。高校年代では私が指揮したU-22のときにもチームに参加してもらった。私がどういうサッカーをしたいのか、彼にどういうものを求めているのか、よくわかった関係でいると思う。11月のスペイン遠征では、世界基準というところでスロバキア、フランス、スペインと戦った。彼のフィジカル的な要素、戦いの部分で、ものすごくチームに役に立つと思った。この年代では突出した経験は、このチームには大事になると期待している」

─松木がチーム内で果たす役割とは。
「このU-20で年代が一番上になるのは、早生まれの横山と熊取谷一星(明治大)だが、この2003年の年代はおとなしいまではいかないが、優しい人間が多い。玖生もそういう部分で、いろんなところに目を配りながらコミュニケーションを取っている」

●AFC U20アジアカップウズベキスタン2023特集

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